第四話
恋慕


けたたましく鳴り響く警報。

シンジとレイは、5分と掛からず各々のエヴァに搭乗していた。

『敵は、火星の影から突然現れたわ。衛星の射程圏内への到達予想時間は15分後。それまでにエヴァで大気圏外での応戦体勢を確立して頂戴』
『『了解』』

スクランブル発進のため、シンジとレイは既にエントリープラグに搭乗している。

「エントリープラグ挿入」
「プラグ固定終了」
「第一次接触開始」
「LCL注入」
「主電源接続」
「全回路動力伝達」
「第2次コンタクト開始」
「思考形態は日本語を基礎原則としてフィックス!」
「A10神経接続異常なし」
「初期コンタクト全て異常なし」
「双方向回線開放」

『初号機コンタクト終了』
『零号機コンタクト終了』

『エヴァ初号機、並びに零号機、スクランブル発進!』
ミサトの号令と共に、エヴァ格納庫の天井が開く。

エヴァ両機は船とは思えない動作を行う。
水上で機首を上に向けた形で立ち上がるのだ。

(このためのLCLか・・・)

シンジはそんな事を考えていた。
通常の水上でもその動作を行う事はできる。
しかし、LCLの上だと、水上より遙かにスムーズにその動作が行えたのだ。
それは浮力の差であろう。

『初号機発進します!』
そして、シンジの声と共に戦艦が縦に沈没したような姿勢から急激に飛び立つ。

『零号機発進します』
いつもと同じ抑揚のない鈴の鳴るようなレイの声が響く。

垂直離陸のないその動作は、カタパルトから発射される戦闘機とは比べ物にならないが、戦艦が飛び立つと言う動作では、凄まじく速い発進となる。

そして、戦艦1機が漸く通れる程のジオフロント天井の射出口。
そこを、事も無げに通り抜けていく紫とオレンジの戦艦。

『初号機、第一宇宙速度突破!』
『零号機、第一宇宙速度突破!』

「とんでもない二人ね・・・」
ミサトは初のスクランブルで、何の問題もなく飛び立つ二人の艦長に感嘆の息を漏らす。

「あら、何が?」
「初のスクランブルなのよ?なのに何の淀みもなく二人とも最速で大気圏外に出るわ」

「エヴァの性能ね」
「それを操る二人がとんでもないのよ」
リツコは科学者の立場から、ミサトは今まで見てきた多くの経験から語っている。

車でも新車に乗るときは慣れるまで、それなりの時間が掛かる。
ましてや、その車の性能を遺憾なく発揮できるようになるまでには、かなりな慣れが必要だろう。
ましてや、戦艦ともなれば、多種多様な条件が折り重なり合う。

しかしレイは兎も角、シンジはエヴァに乗るのは2回目なのだ。
厳密にはエヴァに乗って飛び立つのが2回目なのだが。

「エヴァに乗るために産まれてきたような子ね」
ミサトの言葉は、ミサト自身それ程考えて出た言葉ではなかった。

しかし、その言葉を聞き、眉間に皺を寄せた人間がいた。

『初号機、大気圏離脱しました』
『零号機、大気圏離脱しました』

「了解、そのまま方位3200ミル、角度270ミルで別命あるまで待機」
『『了解』』

「現在までに得られた情報によると、今回の敵は、前回と同じく銀河連邦軍警告信号は無視。進路を変更する気配無し。大きさは前回の物よりかなり小さく、エヴァと粗同程度の大きさよ」

『『・・・・・』』
シンジとレイはミサトの話しを黙って聞いている。

「この事は、先の物より機敏性があると推察され、更に旗艦が潜んでいる可能性も秘めています。従って今回は敵機の殲滅より戦闘力を剥ぎ取り、回収を目的とします」

『捕獲ですか?』

「あくまで、目的であって、敵機の抵抗が激しくそれが不可能と判断した時点で殲滅してもらって結構よ」

『僕もできれば捕獲したいですね。無駄に殲滅したくない』
『・・・碇君』

『ん?何?』
『・・・なんでもない』

「映像出ます」
シゲルの声と共に、発令所のメインスクリーンに敵の機影が浮かび上がった。

「これは、また・・・」
ミサトも冷や汗を流す。

そこに映し出されたのは、烏賊の様な機影。
前回と同じく、船なのか生物なのかの判断も着かない。

とその時、烏賊の肩口辺りが光ると共に映像が消えた。

「何?今のは!」
「解らないわ、光線の様な物で監視衛星が打ち落とされたのは確かね」

「先制攻撃ってわけね」
リツコの解答に舌なめずりをするミサト。

「目標、射程距離に入ります!」
「威嚇射撃準備!射程内に入ると同時に発射!」

「了解!」
その辺りの迎撃衛星はマコトの管轄だったらしい。

「威嚇射撃発射します!」
マコトの報告と共に衛星からのエネルギー砲が映像に映る。

オレンジ色の光の壁に阻まれるエネルギー砲。
こちらからのエネルギー砲が止むと同時に敵機からの攻撃を受け迎撃衛星は破壊された。

「今回の敵さんはやる気満々ね。シンジ君!レイ!捕獲は出来たらで構わないわ!敵の殲滅開始!」

『『了解!』』
シンジとレイは返事をすると、敵機の方に向かう。

ATフィールドを中和し、速射砲を打ち込む初号機。
しかし、今回の敵は俊敏でそれをかわし反撃してきた。

レイの方に向かう敵の攻撃。
波状の光が零号機に向かう。

『・・・くっ』
なんとかATフィールドを張るも、一部貫かれる零号機。
敵の攻撃が零号機の腹部を掠めた。

『綾波!』
『・・・問題ないわ』

レイの声に安心し、再び攻撃を行う初号機。
しかし、何故か敵は初号機の攻撃をかわし零号機へ攻撃を仕掛けようとする。

『くそっ!』

シンジは敵を鋏み零号機の反対側に居たが、機首を敵に向けたまま零号機と敵の間に一瞬で移動する。

「すごい・・・」
「なんて動きをするの・・・」
発令所でその動きを映像で見ていたミサトとリツコは声を出して驚いていた。

敵からの攻撃をATフィールドで防ぐ初号機。

ATフィールドを張ったままでは、こちらも攻撃できない。
シンジは一瞬の思考の後ATフィールドを解いた。

『ぐはっ!』
敵の攻撃が初号機に突き刺さる。

波状のエネルギー砲だと思っていた物は光の鞭だった。
敵の攻撃に戦艦の一部を貫かれる初号機。

しかし、貫かれると同時に初号機の主砲が火を噴いた。

爆発する敵。

『すみません。捕獲はできませんでした』

「構わないわ、それよりも大丈夫?」

『はい、これより帰還します』

「レイ?できれば、敵の残骸を回収してきて」

『・・・了解』



ジオフロントに戻ったシンジはそのまま病院に担ぎ込まれた。
初号機から出てきた処で倒れたからだ。

「それでシンジ君の様態は?」
「脳にかなりの負荷が掛かったようね、今は昏睡状態。命に別状はないわ」
ミサトの質問に対し事務的に答えるリツコ。

「そう、でも何故そんなことに?」
「不明・・・としか言いようがないわ。敢えて言うならエヴァに掛かる負荷はそのパイロットにフィードバックする」

「それってもしエヴァが壊滅的なダメージを負えばパイロットの生死も危険って言う事?」
「そうね、でもエヴァはその前にエントリープラグを緊急射出できるわ」

「私の判断次第か・・・」
ミサトはリツコの言葉に眉を寄せる。

リツコは違う意味でミサトから顔を逸らしていた。



「・・・何故、貴方は私を庇ったの?」
その問いに答える者は、今はベッドで眠りに付いている。

病室でシンジの横に腰掛け、シンジの顔を覗き込みながら、レイは呟いた。

爽やかな風が窓から吹き込んでいる。
カーテンを翻すそよ風。
レイは心地よかったのだが、シンジが寝ているため窓を閉めに向かった。

「うっうぅぅん」
「・・・碇君?」
その時、声を出したシンジに眼が醒めたのかとレイが問い掛けた。

「うっ?綾波?」
「・・・気が付いたのね」

「僕は一体?」
「・・・貴方は初号機から降りた途端に倒れてここに運び込まれたの」

「そっか、なんか凄く疲れた気はしてたんだけど、まさか倒れるとは・・・」
「・・・今日は休んでいて」

「ありがとう、ずっと看ていてくれたの?」
「・・・いいえ、さっき来た処だわ」

「そう、もしかして心配してくれたの?」
「・・・そう、そうかも知れない」

「綾波って優しいね」
シンジの言葉に眼を見開くレイ。

そんな事は言われた事がなかったのだ。

「・・・ごめんなさい。こう言う時どんな顔をすれば良いのか解らないの」
「笑えば良いと思うよ」

その言葉に微笑みを作るレイ。
窓から入る光の逆行で蒼い髪がキラキラ光り、シンジの言葉に少し紅潮しているその笑顔は天使の様だった。

我知らず手を差し出すシンジ。
その手をレイも我知らず掴んで居た。

「ありがとう」
「・・・何?」

「ここに居てくれてありがとう」
「・・・いい」
シンジの手を握り紅潮するレイ。

爽やかな風と穏やかな光が二人を包んでいた。

「・・・何故、貴方は私を庇ったの?」
レイは、先程の質問を繰り返す。

「理由なんかないよ。人を好きになるのに理由が無いようにね」

はっと眼を見開くレイ。

「・・・私は人ではないわ」
「銀河系には数多くの知的生命体が居るよ。人の定義も曖昧さ。そんな事を気にしていたの?」

シンジのその答えにレイは眼を丸くした。
今まで人で無い事に対し負目ではないが、人とは違うと言う孤独を感じていた。
しかし、そんな事はなんでも無い事の様にシンジは言う。

「何故、泣いているの?」
「・・・泪、そう私、泣いているのね、でも悲しくはないわ」

「人は嬉しい時も泪が出るんだよ。綾波は嬉しい?」
「・・・嬉しい・・・そう私、嬉しいのね」

シンジは握っていたレイの手に力を込めた。
顔を上げるレイ。
深紅の瞳がシンジを見詰める。

「綾波、僕じゃ頼りないかも知れないけど、僕は君の力になりたい」
「・・・碇君」
レイは我知らずシンジに抱付いていた。

「あ、綾波?」
シンジはここに来て、この状況に困惑している。

しかし、自分に縋り泪を流しているレイ。
シンジはレイを優しく抱締めた。



その頃、司令室ではゲンドウと冬月が先の戦闘記録を見ていた。

「碇、これは少々早すぎるのでは無いかね」
「・・・問題ない」

「しかし、シンジ君が予定より早く覚醒すると、事態は予測がつかんぞ」
「・・・そのためのレイだ」

「レイに頼り過ぎじゃないか?」
「・・・問題ない」

「仮にレイがシンジ君に恋愛感情を持つとどうするんだ?」
「・・・あれは自分が人で無い事に孤独を感じている」

「それ故にシンジ君を求めるかもしれんぞ」
「・・・その時はシンジに真実を話す」

「ますます我々は恨まれるな」
「・・・恨まれるのには慣れていますよ、冬月先生」



しかし、シンジは既にレイから話しを聞いていた。

自分に対し真摯な態度で接してくるシンジをレイは受け入れたかった。
しかし、そのためには全てを話さないとシンジに悪いと思ったのだ。
このまま黙ってシンジを受け入れると、シンジが全てを知った時にどうなるか解らない。
ならばいっそ、ここで全てを話し、シンジの態度が変れば元に戻るだけだとレイは考えた。
そして、きっとそうなるだろうと思っていた。
傷は浅い方が良い。
レイはそう考えたのだ。
しかし、シンジの取った態度は、レイの予想を嬉しい方に外れさせた。

「そうだったのか、それで父さんは僕を・・・」
「・・・ごめんなさい」

「綾波が謝る必要はないよ」
「・・・でも私は・・・あっ」
レイが何かを言おうとした時にシンジはレイを抱締めた。

「綾波は自分を責める必要はないよ。父さんがそのつもりならそれでも良い。僕は綾波と共に進むよ」
「・・・碇君」
レイもシンジの背中に手を回す。

シンジはずっと想い焦れていた少女のために、レイは自分の全てを受け入れてくれる少年のために、二人は今、硬い絆を手に入れた。
お互いが手に入らないと半ば諦めていた物が手に入ったのだ。

「ありがとう綾波」
「・・・碇君」

(・・・もう、この人を離さない)

レイの中では新たな契約が成立していた。



「これは凄いわ」
ディスプレイに映る数字の配列を見ながらリツコは嬉々としていた。

「で、何が凄いの?」
「ミサト!ノックぐらいしなさいっていつも言ってるでしょ」

「はいはい、悪かったわ、で、その数字のどこが凄いの?」
「これはシンクロ率と言って、エヴァにシンクロしている数値を現わすものよ」

「へぇ〜そんな物があったんだ、何でそれ公式に知らされていないの?」
「計測方法が曖昧で、今まで計測値すら安定していなかったのよ」

「要は、計測する物が今まで決まっていなかったって事?」
「そう取って貰って構わないわ、でもここにはレイが居る。かなりなデータが蓄積されているの」

「成る程、成る程、それで、その数値のどこが凄いの?」
「レイのシンクロ率を100とした場合、シンジ君のシンクロ率は一瞬だけど200を超えるわ」

「それって?!」
「まさしくエヴァの申し子と言う感じね、因みに特殊戦艦の艦長は今までの最高で60ってとこよ、勿論機体の差もあるけど、レイを上回るなんてね・・・」

「シンジ君も?」
「彼は100前後だったわ、だからここへの転属もスムーズに行えたのよ」

「成る程ねぇアスカは?」
「彼女はエヴァ専属。レイとそれ程変らないわ」
アスカとは弐号機の艦長の事だった。
弐号機とその艦長は現在アンタレス星間で訓練を行っている。

これは、銀河連邦軍との交渉の結果NERVの権限を取得するために銀河連邦軍が出した条件だったのだ。
アンタレス星間は現存する銀河連邦の中でもその技術力を自負していた。
太陽系第三惑星等という辺鄙な片田舎の技術など、あっさり淘汰できると考えたのである。
ミサトはNERVに来る前はアンタレス連隊に所属しており、NERVへ移動の内示が出た時にアスカとも接触し、情報を集めたのだった。

「まさに天才かぁ、今まで専属でやって来た者より高いとはね」
「それと、レイが持ち帰った敵の残骸らしき物、ネクローシスを起こしているわ」

「それって?!」
「生体部品か生命体そのものかって所ね」

「見たまんまじゃない」
「あら?見ただけじゃ本質は解らないわ、これは本質に迫る一歩よ」

「それよりさぁ、シンジ君って年より若く見えるし、レイも年を取ってないように見えるじゃない?ワープ航法ってそんな作用本当にあるの?」

「ふぅ〜貴女も女だったのね」
「どう言う意味よぉ〜!」

「実際、解明された訳ではないけれど、ワープ航法自体は身体に影響ないとされているわ。でも実際は光速を超える移動方法である事には違いない。そこにアインシュタインの特殊相対性理論が働いている可能性が示唆されているわね」
「う〜ん私にも解る様に説明して」

「つまり、光速に近い速度で移動する物体は時間の流れが遅くなる。光速を超えた移動速度を持つワープ航法にもその影響が出ているのではないかと言う事よ」
「でもワープ航法って空間を曲げてそこを直線に進むだけでしょ?」

「理論はそうね、でもアインシュタインの理論では、宇宙空間は重い惑星の影響で歪んでいるとされているわ。つまり空間の歪みに速度がどのように関わるかは、よく解っていないのよ」
「でも実際に関わっていそうな人達は居るってことか」

「それも確定ではないわ、彼らは特殊戦艦、またはエヴァに乗っている」
「それが何か関係あるの?」

「エントリープラグに満たされるLCL、これは色々な作用があるの。少々の傷なら数秒で治るようなね」
「それって?!」

「治癒作用なのか、代謝機能の促進作用なのかは解明できていないわ。でも後者なら年を取らない事に影響する可能性は高いわ」
「でもそれってLCLに浸っている間だけの話しでしょ?」

「彼らはLCLを肺に取り込み酸素を供給しているわ。つまり血液にLCLが循環している事になるわね」
「私も偶にはLCLに潜ろうかしら」

「私は偶に潜っているわ」
「あっ!リツコ!あんたって」

「なっ違うわよ!私はエヴァの状態を観察したり、改修状況を観たりしに潜っているだけよ」
「説得力ないわよ」
ミサトはジト目でリツコを睨んだ。

「ねぇねぇリツコ!ここを辞めたら二人でLCLを使って若返り事業でもやらない?」
「それは良い考えね、でもLCLを作るのに莫大なお金が必要って解ってる?」

「えっ?それってどれくらい?」
「貴女の退職金100人分ぐらい」

「な、なによそれぇ!そうだ!退職するときにちょっとちょろまかしましょ!ケイジにたっぷりあるじゃない」
「機密持ち出しで逮捕されたいならどうぞ」

「うぅ〜駄目かぁ〜」
ミサトはそう呻きながらリツコの部屋を後にした。

「ふぅ〜」
溜息を吐きながら煙草に火をつけるリツコ。

ミサトとの掛け合いは、嫌いではない。
張詰めている自分をリフレッシュするには良い気分転換になる。

しかし、そこには別なストレスがリツコには溜まるのだった。
大学時代からの友人に対する負目。
話せない事の重荷。
それでもミサトの脳天気さがリツコにはありがたかった。



シンジは病室でぼぉっとしていた。
まだ退院を許可されないのだ。

課業時間中はレイも執務を行っている。
それでも昼休みと課業後は欠かさず見舞いに来てくれていた。

「碇さん、調子はどうですか?」
「あっもう大分調子良いです。まだ退院できませんか?」
シンジは病室に入ってきた看護士の女性に聞いてみた。

ちょっと赤みがかった髪をお下げにした、雀斑がまだいくらか残っている眼の大きい女性だ。
白い看護士の服がスレンダーなその身体にフィットしていて、スタイルの良い事が見て取れる。

「まだ担当医師からは許可が出てないので、もう少し我慢して下さいね」
「そうですか・・・」
落胆の溜息を吐くシンジ。

「早く退院して彼女に逢いたいですか?」
「え?」

「でも綾波さんに彼氏が居たなんて全然知りませんでした」
「な、なんの事です?」

「だっていつも無表情な綾波さんが碇さんの所に来る時はとても嬉しそうなんですもの」
「そ、そうなんですか、でも貴女も彼氏が居るんでしょ?」

「え?私?」
そう言ってその看護士の女性は頬に手を当ていやんいやんと顔を振る。

流石のシンジも冷や汗を流した。

「うちの唐変木なんて碇さんと比べたら月とスッポンです」
「そ、そんな事はないと思うけどなぁ」

「なんか訳の解らない関西弁は使うし、横柄だし、男尊女卑の気があるし」

(変な関西弁?・・・)

シンジはつい最近聞いた事がある関西弁を思い浮かべていた。

「食い意地だけは張ってるし、電話は向こうから掛けてこないし、待ち合わせには必ず遅れてくるし」
「でも、好きなんでしょ?えぇっと・・・」

「あっ私、洞木ヒカリって言います。自己紹介もしないですみません」
そう言って女性はペコリと頭を下げた。

「あっ僕は碇シンジです」
「プッ・・・知ってますよ」

「そりゃそうだね」
シンジは頭を掻いた。



続きを読む
前を読む
戻る


新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。