第弐拾話
動き出す未来


今日は、碇シンジ、綾波レイ、とシンジ、レイで京都に来ていた。
残る使徒は後、3体。

今のところ使徒は予定通りに出現している。
次ぎの使徒が現れるまで一月以上あるはずであった。

シンジ達は、その一月の間、碇家で2人を預かってもらい、様子を見ようと考えた。
NERVからの介入はあるとは既に考えられないが、他の組織はどう動くか解らない。

特にゼーレや戦自等の大きいところではなく小さいところが予測不可能だ。
悪く言えば囮だが、ここで平和に暮らせるようなら、そのまま生活して貰えるのが一番だと考えていた。

碇家は元々それ程大きな財閥ではなかった。
そして碇家の現状の頭首は贅沢な人間ではなかった。

玄関の門でインターフォンを押しシンジが呼び出す。

「どうぞお入り下さい」
と言う声と共に門が開かれた。

門から家の玄関までは20メートル程であろうか?
むちゃくちゃ広いと言う感じでは無いが、それでも広い。

京都らしく、庭に池や植木が厳かに配置されている。
石畳を進み、料亭の様な玄関に付くと執事が迎え入れてくれた。

「ただいま」
碇シンジがそう言う。

「おかえりなさいませ、お待ちしておりました。旦那様も首を長くしてお待ちでした」
執事は微笑むとそう言い、一行を奥の部屋へと案内してくれた。

案内された部屋は、和室の畳敷きで8畳程の部屋。
床の間には、シンプルな掛け軸が飾られている。
障子の向こうには庭が見渡せ、そこには鯉の泳ぐ池があった。

「おぉよく戻って来たなシンジ」
そう言いつつニコニコしながら初老の男性が部屋に入って来た。

「ご無沙汰しており、申し訳ありませんでした」
シンジが頭を下げそう言う。

「ただいま、お爺さん」
碇シンジはそう言って微笑んだ。
綾波レイとレイは軽く会釈をする。

「謝る事はない、お前が何をしているかは知っている。上手く行ってるようだな」
「はい、今のところは」

「それで今日はなんだ?もうシンジ達を引き取っていいのか?」
碇シンジにお爺さんと呼ばれた初老の男性は、どこか嬉しそうにそう言った。

「はい、完全にではありませんが一月程を目安に預かって頂こうと、連れて参りました」
「そうか!全く構わないぞ!よし、今日は調理長に腕を振るわせよう!」
はっきり言って浮かれている。

「綾波さん、挨拶して」
シンジが綾波レイに言った。

「・・・綾波レイです。宜しくお願い致します」
「おぉ本当にユイの若い頃にそっくりだ。ここは自分の家だと思ってくれて構わないからな」
そう言って眼に涙を浮かべている。

「・・・ありがとうございます」

「それで、どうするのだ?」
「一月程、様子を見て問題が無いようなら、そのままと言う事に」

「問題があれば?」
「碇老には申し訳ありませんが、2人は別な地で生活をする事になるかと・・・」
碇老は眉間に皺を寄せた。

「具体的に問題とは何だ?」
「直接的には襲われる事ですが、情報の行き渡ってない下部組織が先走る事ですね」

「意味が解らんぞ?」
「最新の情報を持ってる組織は、この2人を見ても碇シンジと綾波レイとは思わないはずなんです。縁があるとは思うかもしれませんが」

「成る程、縁があるだけなら親戚達と変らないが、本人だと思い込むような下部組織の先走る馬鹿が居る可能性があると言う事じゃな」
「一応、全部排除したつもりなんですが、どこで見落としているか解りませんので」

「解った、2人の事は安心して任せてくれ」
「はい、宜しくお願いします」
そう言ってシンジは立ち上がった。

「何だ、飯ぐらい食っていけ」
「そうですか?では折角ですので」
そう言って、その日、碇家は盛大な宴会と成り果てたのだった。



「・・・大丈夫?」
「何が?」
その夜、碇家の離れで布団に入っているとレイがシンジに尋ねた。

「・・・早くは、なかったの?」
「そうかも知れない、でも、ここで何もなければ良しだし、何かあっても掃除ができる」
シンジは天井を見詰めたまま、そう言った。

「・・・碇君」
「あの2人はできるだけ安全に暮らせる様にしてあげたいんだ」

「・・・ありがとう」
「自分のためだよ」
そう言うシンジにレイは抱きついた。

「・・・碇君は優しいわ」
「自分が傷付きたくないだけだよ」
シンジの自虐癖が出てきてるようだ。

レイは一層強くシンジを抱きしめた。



翌日からシンジとレイで調査が始まった。

碇家を監視しているのはゼーレや戦自だけではない。
どちらかと言うと企業利益に関する興信所の様なところが多いのだ。

シンジとレイは目立たない様に髪の色と眼の色を変え行動している。
碇シンジと綾波レイには出来るだけ普通の生活を要請した。

しかし、学校には通わなかった。
この時代、資産家の家は学校に通わせないのだった。
貧富の差が激しいため、資産家の子供は狙われ易いのだ。

「空は見えるけど、後はシンジさん達の船に居るのとあまり変らないね」
「・・・そうね、でも人は沢山いるわ」
碇シンジと綾波レイはそんな感想を漏らしていた。


シンジとレイが調査したところ、かなりな数の監視者が見つかった。
監視者について片づける訳には行かない。

ここで、監視者を一掃してしまうと、明ら様に怪しいと言っている事になってしまうからである。
監視者を始末された組織は、それが誰の仕業で何のためなのかを探りに力を入れて来る様になってしまうだろう。

碇シンジと綾波レイも既に監視者の眼に留まり報告が行っているようである。

そちらの方はカヲルがハッキングを掛け、どのように報告されているかを確認していた。

全般的には「14歳ぐらいの男女が碇家に預けられた模様」と言うような内容である。
碇シンジと綾波レイと言う名前は今のところ挙がってくる組織はなかった。



今日はシンジ達とカヲルが交代し、シンジはリツコ達と対談していた。
今回はフルメンバーである。

こちらも先にリツコとマヤに綾波レイと碇シンジの生存が知れてしまったので、早急に手を打つ必要があったのだ。

「さて、赤木博士から聞いているかも知れませんが、碇シンジ君と綾波レイさんは生きています」
「「「!!」」」
皆が驚いた顔をしている。

シンジはその現象に驚いてリツコの方を向いた。

「私は言ってないわよ」
リツコが自分はそんなに口が軽くは無いとでも言いたそうであった。

「そうですか、失礼しました」
シンジは軽くリツコに向かって頭を下げた。

「しかし、綾波レイさんは既にリリスの因子は取り除きました。初号機も無い今、あの2人に関しては、詮索しないで静かに暮らさせてあげて欲しいと言うのが僕のお願いです」
そう言ってシンジは全員を見回す。

シンジの心配は加持であった。
今はこちらに付いていても、何かの理由で情報を売り渡す可能性があるからだ。

「そんなに睨付けないでくれないかな、口外しないと誓うよ」
加持は「信頼されてないなぁ」と呟きながら頭を掻いた。

「しかし、零号機にはシンクロできるのでは無いのかね?」
冬月は詮索するつもりはなかったのだが、ゲンドウに知れたらと思い、つい聞いてしまった。
しかし、それに対する回答は冬月の予想を上回る物だった。

「零号機には既に魂がありません。普通の人がシンクロしようとすると取り込まれます」
「「「!!」」」

「ただ、多分、シンクロできる人間がいずれ送り込まれて来ると思います」
「それはどう言う事だね?」

「フィフスチルドレン、遅くとも第壱拾六使徒が倒された後に、早ければそろそろ送り込まれると思われます」
「ゼーレからと言う事かね?」

「そう言う事です。それで、皆さんにお願いしたいのですが、NERVの他の職員をどうされるのか?早急に決めてその行動を開始して頂きたい」
「避難させるつもりなら、そろそろ始めろと言う事かね?」

「それはお任せします。ただ、第壱拾七使徒を倒した後にゼーレがNERV本部占拠に来るでしょう。少なくともアダムがある間は」
「成る程、その対策は今から立てなければ間に合わないと言うんだね」

「はい」
「解った、そちらの方は我々で早急に決定し、行動に移るとしよう」
冬月が決断した。

「宜しくお願いします」

シンジとしては話は終ったつもりなのだが、レイ以外は皆、席を立とうとしない。

「まだ、何か?」
怪訝の感じたシンジが尋ねた。

「あの、あのね?その、ここの食堂をちょっち使わせて貰いたいなぁなんて・・・アハハ」
ミサトがいつもの調子で戯けて行った。
シンジはガックリ来たのだがオペレータ達とミサト、加持、冬月まで真剣な顔で見ている。

「べ、別に構いませんよ。ではこちらへ・・・」
シンジは大粒の冷や汗を流しながら皆を食堂に案内した。

リツコの方を見ると、リツコは視線を逸らす。

「ふぅ」
と溜息を付くシンジだった。


食堂では盛大に皆、好きな物を頼んで食べていた。

「このシステム、家に欲しいわね」
やはりミサトは喉から手が出る程、欲しいようだ。

「これは、美味い!」
「美味しいですぅ」
「ほぅ・・・これはなかなか・・・」
皆、口々に絶賛している。

「材料とかどうしてるんだろ?やけに新鮮だよね?」
「企業秘密らしいですぅ」

「お酒は無いの?」
ミサトだ。

「あっビールぐらいなら多分・・・」
シンジが最後まで言う前にミサトはビールを頼んで居た。

「何、このビール!エビチュより美味しいじゃない!」
ミサトがそう言うと我も我もと取りに行く。

いつの間にか宴会模様となってしまった。

シンジとレイは顔を合わせて微笑みあっていた。



今日はシンジとレイが綾波レイと碇シンジの護衛についていた。

2人は中学生のカップルと言う感じで街を歩いている。
綾波レイは碇シンジと腕を組んだ。

それを見たレイは対抗しシンジに引っ付き腰に手を回す。

「そんな張り合わなくても・・・」
とシンジは言いながらもレイの肩に手を回す。

その行為にレイは微笑んだ。

京都の街は、少し繁華街から離れれば、未だ古いお寺等が沢山残っていた。
中学生にはまだ早いと思われるが、物静かでデートコースとなっている。

加茂川の辺は、若いアベックで溢れている。
修学旅行か校外学習らしき、学生の集団も所々で目立っていた。

しかし、盆地で有るが故に暑さは第三新東京市よりも酷かった。

それでも若い恋人同士と言うのは引っ付く物だ。

シンジとレイがそんな恋人気分を満喫している時、2人が襲われた。

特にその場では拉致目的と見えたので、シンジ達は後をつける事にした。
碇家の護衛にもその旨を伝え、碇家の護衛の車に便乗させて貰い、気付かれないよう追いかける。

2人が連れ込まれたのは、廃墟になりかけの小汚いビル。
見張りは2人だった。

シンジとレイは見張りを軽く気絶させると、上に上がっていく。

2人は捕えられているだけの様だ。

まず、ボスらしき人間を捜すシンジとレイ。
当りを付けて、レイが2人を救出、シンジがボスらしき人間の部屋に踏み込んだ。

「誰に頼まれてあの2人を誘拐したのかな?」
「誰や!われぇ、ここが何処か解っとるんやろうのぉ」
下っ端ぽいチンピラがシンジにドスをちらつかせながら、迫ってきた。

(これは、単独犯か?・・・)

シンジはその余りのチャチさに、その場で殲滅しても良かったかと思えた。

面倒なので、迫ってきたチンピラは一撃で殺す。

「プゲッ!」
顔面を殴られ頭蓋骨が陥没してチンピラは倒れた。
血がどくどくと流れている。

「で、誰に頼まれたんですか?」
「わ〜〜〜〜〜!!!」
ボスらしき男は、引き出しから拳銃を出すとシンジに向かってめちゃくちゃに撃った。

めちゃくちゃに撃っているため、ATフィールドを張るまでもなく弾は明後日の方向に飛んでいる。

「わ、わしは知らん!彼奴らが勝手に攫って来ただけや!」
シンジは呆れて、先程チンピラが持っていたドスを投げて、その男を殺した。
ドスはその男の眉間に刺さっている。

(やっぱり単なる金欲しさの誘拐だったみたいだな・・・)

しかし、シンジには許す気は毛頭ない。
銃声を聞きつけてきた組織員らしき者達を根絶やしにし、その廃屋も爆破して引き上げた。

「・・・背後は?」
2人を安全な所に連れ出していたレイと合流すると、レイが聞いてきた。

「居なかったみたい、まだあぁ言う輩が居るとはねぇ、ごめんよ恐い思いさせて」
シンジは綾波レイと碇シンジに謝った。

「いえ、助けてくれてありがとうございました。もっと気をつけて歩かないと駄目ですね」
碇シンジは自分の行動を反省している。

「いや、碇家の護衛だけでも、あれくらいなら何とでもなったんだけど、背後があるかもしれないから、ここに来るまで手を出さないようにしてたんだ。本当、ごめん」

「・・・問題ありません、その為に今はこちらに居るのですから」
綾波レイも気にしていないと言った。

そこへ、碇家のガード達がやって来た。

「後は我々にお任せ下さい」
そのリーダらしき男がシンジに向かって言う。

「うん、宜しくお願いします」
シンジがそう言うと、碇シンジと綾波レイは車に乗って帰路についた。

シンジとレイは、一応、背後が調べに来るかもしれないので、そこで暫く見張っていたが結局、誰も来なかった。

「やっぱり、単なる金欲しさの誘拐だったみたいだね」
「・・・あの2人は可愛いから狙われるの」
自画自賛に聞こえるが敢えてシンジはそこに突っ込まない。

「レイも可愛いから気をつけないとね」
「・・・な、何を言うのよ」
お得意の言葉で真っ赤になるレイだった。



モノリスの並ぶ会議室では老人達の話し合いが行われていた。

「SCSのあの強さ、尋常ではないな」
「今回の使徒は、力を司るゼルエル、それをああも簡単に葬り去るとは・・・」

「倒したのは弐号機だった」
「しかし、戦力を削いだのは紛れもなくSCSだ」
「しかも通常兵器でな」

「シンジ=アンガー、未だ持って謎の人物だ」
「我らゼーレの力を持ってしても何も出てこんとは・・・」

「SCSその実体すら掴めておらん、構成要員は何人なのか?本拠地は何処にあるのか?全く持って不明だ」

「しかもNERVの動きは、最近SCSと協力体制に見える」
「我らゼーレのシナリオとは大きく違った出来事だよ」
「この修正容易ではない」

「六分儀ゲンドウ、あの男にネルフを与えたのがそもそもの間違いではないのかね」
「だが、あの男でなければ、全ての計画の遂行はできなかった・・・六分儀、何を考えている」

「だが、事態はSCSの問題だけではない」
「エヴァ初号機に引き続き使徒侵食による参号機の殲滅」

「さよう、S2機関の実験による第二支部と四号機消滅。被害は甚大だよ]
「我々がどの程度の時と金を失ったか見当もつかん」

「これも六分儀の首に鈴をつけておかないからだ」
「鈴はついている。ただ鳴らなかっただけだ」

「鳴らない鈴に意味はない。今度は鈴に動いて貰う」
「そして、更なる鈴を送り込む」

「なんと?!」
「エヴァ零号機、試作機と言えど、この状況で遊ばしておくわけには行かん」
「確かに、今は動くエヴァは貴重だ」



アスカが学校からの帰り道、人気無い通りを歩いて居ると何処からともなく鼻歌が聞こえて来た。

「フンフンフ・フフフフ・フフフフンフフ〜ンフフ・・・フンフンフ・フフフフ・・・・」
ベートベン第九である。

道端の土手に座り、鼻歌を口ずさむ少年。
その容姿は銀の髪の中学生ぐらいだった。

「歌はいいねぇ、歌は心を潤してくれる。リリンの産み出した文化の極みだよ。そう感じないか、惣流アスカラングレー君」
そう言ってその少年はアスカの方に振り向く。

その瞳はレイ達と同じ深紅の瞳だった。

「あ、あんた・・・カヲル?」
「おや?僕を知っているのかい?そう、僕はカヲル、渚カヲル、君と同じ仕組まれた子供、フィフスチルドレンさ」
そう言うとカヲルは銀髪を書き上げアルカイックスマイルをアスカに向けた。

「ふ〜ん、あんたが渚カヲル、フィフスチルドレンねぇ」
アスカが怪訝な表情でカヲルを睨付けた。

「カヲルで良いよ、惣流アスカラングレーさん」
「これは面倒ねぇ」
「何がだい?」
「あんたは気にしなくていいのよ!」

バシッとアスカの鞄がカヲルの後頭部を直撃した。

(これじゃぁどっちも銀カヲルね、なんて呼ぼう・・・)

アスカが面倒だと言ったのはこの事だった。



その頃、ミサトとマコトはカートレインに乗り、車の中で密談していた。

「フィフスチルドレンが今、到着したそうです」
「そう・・・いよいよね」

「渚カヲル、過去の経歴は抹消済み、レイと同じね」

「ただ、生年月日はセカンドインパクトの同一日です」
「委員会が直で送って来た子供よ、大体、機体もないのに、ふざけてるわね」

「マルドゥックの報告書もフィフスの件は非公開となってます。それもあってちょいと諜報部のデータに割り込みました」
「危ない事するわねぇ」

「その甲斐ありましたよ、フィフスの顔写真です」
「どれどれ?」

「んな!?」
「僕も見た時は吃驚しましたよ」

「SCSって・・・」
「えぇ、ファースト、サード、そしてフィフスと同じ名前に似た容姿」

「彼らってもしかしたらチルドレンの血縁者で、自分達の兄弟を助けるために動いているとか?」
「何とも言えませんが、何らかの繋がりがあるのは確かでしょうね」
流石に時の逆行者などと言う荒唐無稽な考えは浮かばなかったようだ。

「フィフスのシンクロテストどうします?」
「今日の所は小細工を止めて、素直に彼の実力、見せて貰いましょ」



アスカとカヲルがシンクロテストを受けている。

「後、0.3下げてみて」
リツコが指示を出す。

「はい」
マヤが答え操作する。

「このデータに間違いはないな」
冬月が確認する。

「全ての計測システムは正常に作動しています」
今度はマコトが応えた。

「MAGIによるデータ誤差、認められません」
「よもや、コアの変換も無しに零号機とシンクロするとはな、この少年は」
冬月が驚愕する。

「しかし信じられません、いえシステム上有り得ないです」
マヤの声が小さくなる。

「でも事実なのよ、事実をまず受け止めてから原因を探ってみて」
ミサトがそう呟いた。

「そうね・・・」
リツコもそれに同意した。

(SCS司令の言う事が本当なら、普通の人間は取り込まれてしまうはず・・・)
(しかし、彼は取り込まれない、これもSCS司令の言った通り・・・)
(しかも彼、SCSの参謀に似過ぎている・・・)
(しかし、別人だと言っていた・・・)
(そして3人がファースト、サード、フィフスと同じ名前・・・)
(ファーストとサードは別の人間として存在した、そしてフィフスも・・・)
(これは一体何を意味しているの・・・)

リツコの疑惑は止まる所が無かった。

当然、フィフスの顔写真が手に入った時点で、SCSには確認を取っていた。
そして、SCSとの通信で出てきたのは紛れもなくカヲルだったのだ。



ゲンドウは面白くなかった。
零号機が空いていたから色々とリツコに指示が出来たのだ。

しかし、フィフスはゼーレから送り込まれて来た。
それも零号機のパイロットとしてだった。

これで零号機のサルベージ計画も遅延するとリツコからは報告が上がってきている。
苦虫を噛み潰したような顔をするゲンドウだった。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。