第拾弐話
シンジとレイの日常
朝目覚ましが鳴って碇シンジは目覚める。
碇シンジは寝る時はトランクスにTシャツと言う軽い服装で寝ていた。
ベッドから起き出すと、まず顔を洗いに洗面所に行く。
碇シンジの部屋はワンルームマンションの様な作りだ。
部屋にはベッドと机がある。
8畳程ある部屋は、クローゼットは埋め込みのため、真ん中にソファーと小さいテーブルがあるが、かなり広く感じる。
料理のできる台所もあるが、食堂があるため殆どお湯を沸かすぐらいしか使わない。
洗面所の奥はトイレとお風呂がある。
お風呂は結構広めで4畳ぐらいあり、湯船もゆったりとしている。
しかし、カヲルが何時も大浴場に誘うため、朝シャワーを浴びたい時ぐらいしか使わない。
今日は顔を洗いシャワーは浴びず着替える事にした。
碇シンジは何かの都合で夜、お風呂に入れなかったりしない限り朝シャワーを浴びる習慣はなかった。
普段着る服は、時々出かけた時に補充するので、最近は制服を着る事は滅多になくなった。
今日は、長袖のTシャツの上に半袖のシャツをラフに引っ掛けジーパンにした様子だ。
オーソドックスだがそれ故に清潔感があり、中世的なシンジには合っていた。
身だしなみを整えると、朝食を取るために部屋を出た。
朝目覚ましが鳴って綾波レイは目覚める。
綾波レイは寝る時は下着に大きめのTシャツで寝ていた。
ブラジャーは着けていない。
始めは裸で寝ていたが、色々と常識と言うものと羞恥と言う物を身につけレイに相談したのだ。
その結果、こう言う服装で寝る事に落ち着いたらしい。
ベッドから起き出すと、まず顔を洗いにバスルームに行く。
綾波レイは目を醒ますのと、寝癖を直すために朝、シャワーを浴びるのを日課としていた。
綾波レイの部屋も碇シンジの部屋と同じ作りだ。
根本的に置いてあるものも備え付けなので変らない。
熱めのシャワーで眼を醒ました綾波レイは髪の毛をバスタオルで拭きながらバスルームから出てくる。
この辺りは変らないらしい。
そして服を選ぶ。
最近、レイと共に買出しに出かけてからは、下着も選ばなければならなくなった。
前は同じ物が沢山あっただけなので、無造作に取っていたのだが、今は下着の入っている引き出しを開けると暫く考える様になった。
今日はピンクの上下お揃いにしたらしい。
下着を付けると今度は洋服を選ぶ。
これも前は制服だけだったのだが、ここのところ制服を着る事は無い。
一頻りクローゼットを開けたまま考えた後、下着に合わせてピンクのブラウスとレモン色のフレアスカートにした模様だ。
今では綾波レイも身繕いを行う。
もう一度洗面所に行くと髪を整え、リップクリームを付けた。
これもレイの教育である。
そして準備が整うと、朝食を取るため部屋を出た。
食堂には既にシンジとレイとカヲルが居た。
碇シンジは
「おはようございます」
と挨拶をすると、自分の食べる分をトレイに取り、食卓に付いた。
綾波レイも数分遅れて食堂に入って来た。
「おはようございます」
と挨拶をすると、自分の食べる分をトレイに取り、碇シンジの前に座った。
座席としてはシンジ、レイ、綾波レイで反対側にカヲル、碇シンジと言う形だ。
「・・・おはよう碇君」
綾波レイはシンジに再度挨拶する。
「おはよう綾波」
シンジも当然それに応える。
シンジ、レイ、カヲルは既に食事は済んでおり、お茶を飲んでいた。
「それじゃ僕達はオペレータルームに行くけど、ごゆっくり」
カヲルがそう言うとシンジ、レイ、カヲルは立ち上がった。
「あっ頑張ってください」
碇シンジはそう声を掛けた。
綾波レイは会釈のみだった。
「ありがとう」
シンジがそう言って3人は食堂を後にした。
「綾波、今日は何をしようか?」
「・・・午前中は勉強、午後はトレーニングルームで汗を流す予定だわ」
髪や眼の色が変り、自我も大分確立したのだが、話方はあまり変らない。
「そうだったね、午前中は何の勉強だっけ?」
「・・・今日は歴史と数学、それに英語だわ」
学校ではないので午前中に4教科行う必要はない。
自分達で教科書の進み具合を見て、1週間の計画を立てている。
と言っても綾波レイは既に大学生程度の学力を持っており。もっぱら碇シンジが家庭教師に習って居るような物だった。
従って1週間の計画も殆ど綾波レイが立てており、碇シンジが勉強している間、質問が無ければ綾波レイは本を読んでいた。
そして食事が終り碇シンジの部屋で2人で向かう。
机上での勉強は主に碇シンジの部屋で行うのだ。
この艇には図書室はないが、世界中のあらゆる情報が端末から検索できるようになっている。
勿論、書籍も殆ど電子書籍化されて保存されている。
端末に向かいシンジがある程度終ったと言うと、それに対応した練習問題を行う。
それで解らない所があると綾波レイに碇シンジが尋ねるのだ。
また、教科書を読んで居て解らない所が出て来ても尋ねる。
ここまでで、綾波レイが答えられない事はなかった。
それについて碇シンジは最初のうち、すごい劣等感を持って居たのだが、今では慣れて単純に凄いと感動している。
最初の頃は、午前中ずっとこの調子だったのだが、今では切りの良いところに差掛かると綾波レイがお茶を入れたりする。
休憩時間も2人だけの時間なので、10分とか厳密な事は言わない。
しかし、元々寡黙な2人なので、それ程長い時間休憩している事もなかった。
大体、お茶が飲み終わると再開するのだ。
しかし、2人ともこのお茶をしている時の穏やかな時間が好きだった。
時々、顔を上げた2人の眼が合うとお互い微笑んで、そしてお互い赤くなる。
今、丁度、お茶を飲んでいる時間だ。
「綾波は、使徒が全て倒されたら何をするの?」
「・・・考えてないわ」
お茶を飲みながら平然と言った。
「えっ?どうして?」
「・・・何処に住むか解らないもの」
「それはそうだけど、別に住む所に限らずさ、綾波なら大学にも行けると思うし、そうしたら専攻とか決めておいた方がいいんじゃない?」
「・・・行けるならすぐ決めれるわ」
「そ、そうなんだ」
時々、こういう会話では碇シンジは冷や汗をかく羽目に合う。
元々、色んな意味で超越している綾波レイは碇シンジでは考えられないような答えを出すのだ。
「・・・お昼の時間よ、行きましょ」
そう言うと綾波レイは立ち上がった。
(綾波って僕の事どう思っているんだろう・・・)
端から見れば一目瞭然なのだが、それを指摘してくれる人間はここには居ない。
元来、鈍感な碇シンジはそう言う悩まなくて良いことを悩んでいるのだった。
昼食の間、食堂にはシンジ達は現れなかった。
「シンジさん達、忙しいみたいだね」
「・・・そうね」
言葉は素っ気ないが、碇シンジを見る綾波レイの瞳は優しい。
「あのさ、午後からのトレーニングルームって何する?」
「・・・サイクリングマシンとエアロビクスのつもり」
「エアロビクス?」
「・・・カヲルさんが新しい教習ビデオを手に入れたって言っていたわ」
「そ、そうなんだ」
碇シンジはダンスの類は特異ではなかった。
しかし、ここでは見る人間も居ないため、綾波レイが言えば何とか一緒にやるのだった。
そして昼食も終らせトレーニングルームに向かう2人。
トレーニングルームにロッカーがあり、そこで着替えるのだ。
そして着替えて出てきた姿は、2人ともジャージ姿だった。
2人並んでサイクリングマシンを漕ぐ。
碇シンジはこの時間は結構好きだった。
黙々と漕いでいる間も時々隣を見る。
そうすると綾波レイもこちらを向く。
2人でニッコリ微笑み合うとまた、漕ぎ続けるのだ。
汗が白い肌に光る綾波レイと碇シンジ。
お互いがお互いのそんな姿にドキドキしていた。
エアロビクスを始めると言って綾波レイが映像を準備していた。
碇シンジはジャージの上を脱ぎ、Tシャツになる。
すると準備が出来た綾波レイもジャージを脱いだ。
こちらは真っ白なレオタード。
汗を吸って結構、際どく透けている。
見慣れている碇シンジだがやはりドキドキしてしまい、見ないようにしているが見てしまう。
踊る場所は前と横に鏡があり、前に映る映像を見ながら踊るのだが、その際、鏡に映る綾波レイを見てしまう。
一度、綾波レイの後ろで踊ったのだが、その時は、透けているお尻を見て、足を開いて屈んだ姿勢になった時、鼻血を出して倒れてしまった。
しかし、前に出ると、今度は屈んだ時に胸がばっちり見えてしまうのだ。
普通の男なら生唾物の環境だが、これが碇シンジがダンス系が苦手な理由でもある。
そしてカヲルの策略が2人で手を繋ぎ引っ張り合う動作や、2人で背中合わせになって担ぎ合う動作等、何故か2人で行う動作が多いビデオだった。
そして深呼吸と言う事で取る体勢が、四つん這いになった後、身体を胸を床に擦るように前後にスイングさせる動作で手を伸ばして引いた時、お尻を突き出す様な姿勢になった。
それを碇シンジは後ろからまともに見てしまい、今日も鼻血を出す事になってしまった。
そんな碇シンジを介抱している綾波レイ。
碇シンジを膝枕で寝かせ、冷たいタオルを頭に乗せている。
気が付いた碇シンジはその体勢に慌てる事となった。
「・・・もういいの?」
「う、うん、大丈夫、ありがとう、ごめんね又倒れちゃって」
なんとか言葉を取り繕う碇シンジだった。
「・・・構わないわ」
綾波レイは少し残念そうに碇シンジを解放した。
そして、2人はシャワーを浴びて、夕食のため食堂に行く。
食堂ではカヲルが独りで食事をしていた。
「シンジさんとレイさんは仕事ですか?」
「うん、ちょっと出かけて来るって2人で行っちゃったよ、そろそろシンジ君達が来る頃だと思って待っていたのさ」
「そうだったんですか、すみません、僕がまた倒れちゃって」
碇シンジは自嘲気味に笑ってそう言った。
「今回のビデオは刺激が強すぎたかい?」
カヲルが微笑みながら言う。
碇シンジと綾波レイは顔を真っ赤にしていた。
「ふふ、その分だと、結構強かったみたいだねぇ、今度僕も使ってみるよ」
カヲルは微笑みながらそう言うのだった。
カヲルが食堂を後にした後、碇シンジは綾波レイに話しかけた。
「カヲルさんってなんか楽しんでビデオ選んでないかな?」
「・・・そう?解らないわ」
と言いながら眼は泳いでいる綾波レイだった。
どうやら、綾波レイもビデオの選択には一枚咬んでいるらしい。
しかし、そんな事には全く気付かない碇シンジだった。
寝るまでの時間も綾波レイは碇シンジの部屋に居る。
何かするわけではないが、お互い相手が居る方が心地よいのだ。
綾波レイは結局、本を読んでいることが多い。
碇シンジはTVを見たりゲームをしたりだ。
「そろそろ寝ようか」
「・・・えぇ」
碇シンジがそう言うと綾波レイは少し名残惜しそうに立ち上がる。
「また明日ね」
「・・・えぇまた明日」
そう挨拶すると綾波レイは自室へと帰るために扉を開ける。
扉を出る際に一度振り返る綾波レイ。
「おやすみ」
碇シンジは微笑んでそう言う。
「・・・おやすみなさい」
綾波レイも微笑んで返す。
扉がしまると、
「・・・ふぅ」
と綾波レイは落胆の溜息を零した。
実はレイからちゃっかり
「碇君は鈍感だから自分から迫らなければいけないわ」
と助言は受けていた。
しかし、そこは一般的な感情を身につけてしまった14歳の乙女。
まだまだ、この2人には一次的接触は遠いらしい。
2人は、お互いのベッドでお互いを想いながら眠りにつく。
今日の碇シンジが想う綾波レイは白いレオタードだった。
朝目覚ましが鳴ってシンジは目覚める。
左側を見ると蒼銀の輝きが眼に飛び込んでくる。
寝起きの微睡みの中、シンジは昨夜の余韻に浸りながらレイの頭を撫でる。
「うぅ・・・ぅん」
レイがうっすらと瞼を開き始める。
徐々に見えてくるルビーの様な紅い瞳。
「おはよう」
「・・・おはよう碇君」
まだレイは覚醒していない。
「くぅぅぅ」
声に成ってない声を出しながらシンジの首筋に顔を擦りつけしがみつくレイ。
毎朝の日課であり、シンジも為すがままである。
「そろそろ起きないと」
「・・・もう少し」
一頻り顔と全身をシンジに擦りつけ満足するとレイはベッドから降りる。
当然、全裸であるが気にした風もなく、スタスタとバスルームへ向かった。
シンジの部屋は、碇シンジの部屋と違い寝室と居間は別になっている。
ベッドはキングサイズだ。
ベッドの他には特に何もないシンプルすぎる程の装飾だった。
レイがバスルームへ向かうとシンジも下着をつけ洗面所へと向かう。
レイがシャワーを浴びている間にシンジは顔を洗うのだ。
そして、身支度を整える。
着るものは白い詰襟の海軍将校のような制服。
特になにもない時は大体これだ。
相変わらずシンジはファッションに疎く、制服を着ている分にはいつも同じ格好でも違和感がないためだ。
このデザインにしたのは、レイも着るので白がいいなと感じたシンジの好みだけだった。
後、ゲンドウがいつも黒い制服だったので黒は嫌だと思ったのだ。
シンジが服を着終る頃、レイがシャワーから出てくる。
流石に全裸で何も隠さず髪を拭いていると言う事はない。
しっかりバスタオルで身体を巻き、頭を拭いている。
レイの用意が終るまでシンジは端末を開き、メールや寝ている間に何か起っていないかチェックを行う。
急ぎの用件でない国連からの要請等はメールで来る事もあるからだ。
大体は日時指定で「連絡されたし」と来るだけだが。
そうこうしている内にレイの用意が調った様子だ。
「・・・準備できたわ」
そう言いながらレイはシンジに後ろから抱きつく。
レイの言葉に反応し、シンジは端末の電源を落としレイの頭を撫でながら立ち上がる。
「行こうか」
そう言って2人は食堂へと向かった。
朝、シンジの動く気配でレイは目覚める。
うっすらと眼を開けると優しく微笑んでいるシンジが見える。
レイはこの時が好きだ。
「おはよう」
「・・・おはよう碇君」
シンジの声に我知らず反応してしまう。
こう言う時はシンジの事をついつい「碇君」と呼んでしまう。
(・・・碇君の匂い)
レイはそのまま鼻をシンジの首に擦りつける。
呻くような声が出ているのだが自分では気がついていない。
同時に抱きしめ胸や身体を押しつけ、足も絡ませる。
シンジを寝起きから全身で感じ、幸せに包まれる。
「そろそろ起きないと」
「・・・もう少し」
シンジに促されるも捨てがたい。
(・・・まだまだ足りないけど、そろそろ起きないと怒られるわ)
断腸の思いでシンジから離れ、その勢いでベッドから出る。
そのままバスルームへ向かいシャワーを浴びる。
シャワーを浴びているとシンジが洗面所に居る気配がした。
(・・・碇君も一緒にシャワー浴びればいいのに)
等と考えながら、サッサとシャワーを済ますが既にシンジは洗面所から消えていた。
バスタオルを身体に巻き付け、頭を拭きながら出て行く。
レイ自信は、裸でもいいのだが、シンジが再三に渡り何か身につけてくれと懇願するので、これで手を打ったのだ。
そして、下着をつけ、制服を身につける。
レイの下着は白っぽい物が多い。
余り濃い色の下着を普段レイは付けないのだ。
その代り、殆どシルクのため、かなり透けている。
制服を着るのはシンジと同じ物を着ているのが嬉しいからだ。
実は、カヲルとシンジが全く同じと言うのが少し気に入らないが、シンジが「スカートの方が可愛いね」と言ったため我慢している。
髪を乾かしセットすると、薄い口紅を引く。
ファンデーション等は必要ないのだ。
用意が出来るとシンジがまだ端末を覗いていた。
レイは後ろから近付きシンジに抱きつく。
「・・・準備できたわ」
シンジはレイの頭を撫でながら
「行こうか」
と言って立ち上がった。
レイはシンジの腕に掴まり、2人は食堂へと向かった。
食堂には既にカヲルが座っていた。
「やぁおはようシンジ君にレイ」
「おはようカヲル君」
「・・・おはよう」
軽く挨拶を交わす3人。
思い思いの食事を用意し、食卓に座る。
シンジとレイは並んで座りその前にカヲルと言う配置だ。
「昨夜は特に何もなかったようだね?」
「そうだね、後で細かい所は見るけど大きくは何もなかったようだねぇ」
シンジの問い掛けににカヲルが答える。
レイは黙々とサラダを食べていた。
食堂に碇シンジと綾波レイが入って来た。
「おはようございます」
「おはようございます」
2人は挨拶をすると食べる物をそれぞれ取るとシンジ達の隣に座る。
レイの隣に綾波レイ、カヲルの隣に碇シンジと言う具合に向かい合って座っている。
座席としてはシンジ、レイ、綾波レイで反対側にカヲル、碇シンジと言う形だ。
「・・・おはよう碇君」
綾波レイはシンジに再度挨拶する。
「おはよう綾波」
シンジも当然それに応える。
そんな2人を微笑ましく3人は見ていた。
しかし、レイと綾波レイは何かアイコンタクトを行ったようだ。
「それじゃ僕達はオペレータルームに行くけど、ごゆっくり」
カヲルがそう言うとシンジ、レイ、カヲルは立ち上がった。
「あっ頑張ってください」
碇シンジはそう声を掛けた。
綾波レイは会釈のみだった。
「ありがとう」
シンジがそう言って3人は食堂を後にした。
シンジ、レイ、カヲルはオペレータルームでそれぞれの作業を行っている。
カヲルは主に情報収集と整理、整理された物への対応立案を行う。
レイは立案された物を具体的行動に落とす。
シンジは最終チェックだ。
それと地域別にそれぞれの担当も決まっていた。
ヨーロッパからアフリカに掛けてカヲルが、南北アメリカ大陸をレイが、ロシア、アジア、インドぐらいまでをシンジが担当していた。
厳密な物ではなく、単なる便宜上のもでしかなかったが。
レイが南アメリカ(ブラジル)で不穏な動きを察知した。
「・・・何か変だわ」
「どうしたの?」
「・・・ブラジルで大統領が決まったばかりだと言うのにスキャンダルが持ち上がったの。その出所が曖昧なのに広まり過ぎている」
「政治的画策か、手遅れにならないうちに調べておく?」
「・・・そうね、思い過ごしなら良いのだけれど」
そしてシンジとレイは現地に飛んだ。
昔は影で行動していたのだが、今は国連機関と言う事で政府から入って行く事が多い。
今回も政府に話しを通し、簡単な世情調査と言う事で協力して貰った。
内実はどうやら政府内でゼーレの草による派閥とそれ以外の派閥とのつぶし合いだった。
出所が曖昧なため、現大統領が否定を続けて沈静化するだろうとの大方の見方であったが、シンジとレイは胡散臭い物を感じ、ちょっとした工作を施し戻る事にした。
単純に噂を広げていたチンピラ達の元組織を潰しただけだが、それでも半日かかってしまった。
ブラジルにも碇財団の出資した工場や畑がある。
政権がゼーレよりになると、やはり被害を被るため、芽は早いうちに摘んだ方が得策と言う考えだ。
シンジとレイが戻ると、もうカヲル達は食事も終え、碇シンジと綾波レイは就寝した後だった。
「ちょっと今日は時間掛かっちゃったね」
「・・・地球の裏側だから仕方ないわ」
そう話ながら後処理をするためオペレータルームに入るとカヲルが待っていた。
「やぁ、結構掛かったね、シンジ君達が寂しがっていたよ」
「やっぱりブラジルは遠いね、往復で取られる時間が大きいよ」
カヲルとシンジが世間話のように話しをする。
「一応、処理できる事はやっておいたよ」
「助かるよ、じゃぁ今日はもう寝ようか」
「・・・そうね」
そして3人はそれぞれの部屋へと向かった。
レイは当然、シンジの部屋である。
「・・・今日はつかれたわ」
「じゃぁもう寝よう」
シンジはそう言ったがレイはその場で服を脱いで行く。
シンジの目の前には、透けた下着を付けたスレンダーながら抜群のプロポーションを持ったレイ。
シンジはレイを抱きしめる。
「・・・あっシャワー浴びてないわ」
「どうせ朝、浴びるから良いじゃない」
「・・・でも、汗臭い」
「これからもっと汗かくよ」
そして2人は寝室へと消えて行った。
シンジはレイに嵌められた事は気が付いていない。
レイと縺れるようにベッドに倒れ込むシンジ。
既に唇は吸い合い、抱きしめ合っている。
レイの薄い絹のブラジャーの下から手を差し込むシンジ。
レイはシンジの頭を抱き締めている。
お互いを求め合うように手で口で足で身体全体でお互いを確かめ合う2人。
いつしか、2人共全裸となっている。
時折聞こえるレイの蒸気した声。
お互いを求め合う結合。
昼間の碇シンジと綾波レイのエアロビクスより激しく艶めかしい運動の後、訪れる脱力感。
2人は、お互い抱き合い、安らぎの中に眠りについて行った。
カヲルは
「失敗したよ、今日はシンジ君とお風呂に入れなかったよ」
と言いながら眠りに付いていた。
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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。