第九話
アスカ


NERV司令室では加持とゲンドウが対峙していた

「本当に波乱に満ちた船旅でしたよ。まさか使徒に海の上で出くわすとわね」

加持はトランクを開けた。
トランクの中にはケースに入った胎児状の物が入っている。

「やはりこれのせいですか?既にここまで復元されています。硬化ベークライトで固めてありますが、間違い無く生きています」

ゲンドウはじっとその中身を見ていた。

「人類補完計画の要ですね」
「・・・最初の人間アダムだよ」
加持の言葉に漸くゲンドウが反応した。

「海の上でSCSの司令と参謀に会いましたよ」
「何っ!」

「何をしに来たのか、すぐ帰ってしまいましたがね」
「・・・・・」

「噂以上でしたね、久しぶりに肝を冷やしましたよ」
「・・・・・」
加持が話を振るのだがゲンドウは何も答えない。

「それじゃ、私はこれで」
「・・・あぁ」
加持は諦めて退室した。



第壱中学の屋上でケンスケとトウジが商売をしていた。

「あ〜あ、猫も杓子も、アスカ、アスカ・・・か・・・」
「みな、平和なもんや・・・」

「写真に、あの性格は写らないからね・・・」
「そやなぁ」

ケンスケは趣味と実益を兼ねて校内で人気の生徒の写真を撮っては、それを欲しがる生徒に裏で売り捌いているのだが、アスカが転校してきて以来、その売上の9割近くはアスカの写真になっていた。

容姿端麗、彩色兼備のアイドルのように振舞うアスカが人気になるのは当然の事とも言えたが、その本当の性格を知るトウジとケンスケにとっては複雑な気分だ。

「尤も、それが写真の良いところさ」
ケンスケは写真の売上が伸びて、思わぬ収入になっているのだから文句は無かった。


教室でアスカは誰も座っていない窓際の席の方を向いてボーッとしていた。
本来はそこに蒼銀の髪に紅い眼の少女が、その線上には、いつもオドオドとした中世的な黒髪に黒い瞳の少年が居たはずだった。

「Guten Morgen、バカシンジにファースト」
アスカのその呟きは誰にも聞き取られなかった。



リツコは自分の執務室でモニターに移るデータの羅列を眺めていた。

専門外の人間が見てもただの暗号にしか見えないだろうが、リツコにとっては酷く興奮させられる物だった。
対第六使徒戦で弐号機、その他の観測機器から得られたデータである。

「まさか、これ程とはね、ドイツも情報を隠蔽していたって事かしら」
そこにはシンクロ率90%超え、ATフィールドの発生まで確認できるデータがあった。

そうしてデータ解析に夢中になっているリツコを、突然後ろから抱きしめる腕。

「少し痩せた?」
「そう?」

リツコはモニターの電源を切ろうとしたが止めた。

(今更隠す必要もないわね・・・)

「悲しい恋をしているから」
「どうして、そんな事が分かるの?」

「それはね、涙の通り道にホクロのある人は、一生泣き続ける運命にあるからだよ」
「これから口説くつもり?でも駄目よ、怖ぁいお姉さんが見てるから」

窓ガラスに張り付いてミサトが此方を見ていた。
般若のような形相だが、それがかえって笑える。

「加持君、お久しぶり」
リツコは椅子を回転させて振り向いた。

「や、しばらく」
「加持君も意外と迂闊ね」

「コイツの馬鹿は昔からよ!」
足音も荒くミサトが部屋に入ってくる。

「アンタ弐号機の引渡しが済んだんならさっさと帰りなさいよ!」
「今朝、出向の辞令が届いてね。此処に居続けだよ。また三人でツルめるな、昔みたいに」

「誰がアンタなんかと!」
ミサトが叫んだ瞬間、非常警報が鳴り響いた。

「敵襲?」
ミサトは慌てて部屋を飛び出し発令所へ向かった。

「加持君?」
「何かな?」
リツコは部屋を出て行こうとする加持を引き留めた。

「これを上げるわ」
そう言って差し出されたのはNERVのIDカードだった。

「ほぅ、もう新しいのが出来たのかい?」
「いいえ、これは最高機密まで参照できるカードよ」
加持は不審気な顔でリツコとカードを見比べた。

「どうして俺にこれを?」
「それでSCS司令との交渉の後の発令所の映像を見れば全て解るわ」
「そうかい、ありがとう、見てみるよ」

「但し、その事を司令は知らないので、そのつもりでね」
「副司令は?」
「知っているわ」
加持は、缶コーヒーでも貰ったような軽さで、それをポケットに入れヒラヒラと手を振り部屋を出て行った。



発令所では使徒発見の情報が流れていた。

『警戒中の巡洋艦【はるな】より入電。我、紀伊半島沖にて巨大な潜航物体を発見、データ送る』

アナウンスが発令所に流れる。
オペレーター達はすでに配置について、その執務を忠実に果たしている最中だ。

「受信データを照合。波長、パターン青。使徒と確認」

今日は傍らにパートナーを欠いている冬月は、見事な指揮ぶりで命令を下した。

「総員、第一種戦闘配置」



エヴァはSTOL機によって輸送されている。

そこにミサトから通信で指示が入って来た。

『先の戦闘によって第三新東京市の迎撃システムは大きなダメージを受け、現在までの復旧率は36%。実戦における稼働率はゼロと思っていいわ。従って、今回は上陸直後の目標をこの水際で一気に叩く!弐号機と参号機は交互に目標に対し波状攻撃、接近戦でいくわよ』

「「はい!」」
トウジとアスカは同時に元気よく返事をした。

STOL機から投下され、地響きをたてて着陸するエヴァ弐号機とエヴァ参号機。
即座にネルフの補給部隊により専用電源にケーブルが接続される。

浜辺で迎撃の準備終えた2機のエヴァの前に、海中から使徒が姿を現した。

「レディーファーストよ。援護してね」
アスカがそう言って、弐号機は使徒に向かって駆け出した。

「何やとぉ〜ホンマ、イケ好かんやっちゃ」

トウジがぼやきながら参号機がパレットライフルで足を止めていると、弐号機はそのまま一気に跳躍して、ビルを踏み台に使徒の所まで一息で移動した。

「んぬあぁぁぁっ!」

弐号機はそのままスマッシュホークで使徒を両断する。

『ナイス、アスカ!』
ミサトが歓喜に震えた声で褒める。

しかし、アスカはスマッシュホークを左手に持ち、右手にプログナイフを装備した。

『アスカ?』
ミサトはアスカの行動を理解できず惚けた声を出した。

モニターの中の使徒は、二つに分断されたにも関わらず二体に分かれて再生していく。

『なぁ〜んて、インチキ!!』
ミサトが指揮も忘れ叫んでいる。

しかし、アスカは一方をスマッシュホークで牽制しつつ、一方をプログナイフで攻撃していた。

「ちょっとフォース!ちゃんと援護しなさいよ!」
「そんな事、言うたかて動きがはようて・・・」
トウジは動きに着いていけず、援護射撃もままならなかった。

「もぅぅ役に立たないわねぇ!」
アスカはそう言うと片側の使徒のコアをスマッシュホークで貫くと同時にもう片側の使徒のコアをプログナイフで突き刺した。

「ATフィールド!!」
アスカがそう言うと使徒は爆発を起こした。

アスカの言葉に反応できなかったトウジはその爆発に吹き飛ばされて、山に頭から突っ込んでいた。

確かにエヴァで使徒を倒した。
しかし、ミサトは何かが釈然としなかった。



『これはもう、確定だねぇ』
いつもの様に上空で待機していたシンジ達にカヲルが通信を入れた。

「・・・少なくとも使徒の特性は知っていたわ」
レイも同意した。

「一度、会う必要があるね」
ここに来てシンジも認めざるを得なかった。

そして戦闘機二機はランデブーでその場を離れて行った。



戦闘終了後、NERVに戻ったアスカはリツコに呼び出されていた。

「何か用?」
リツコの執務室に入るなり切り出すアスカ。

「これ、貴方の新しいカードよ」
「そう、ありがと」
アスカはそう言うとそのカードを受け取ったが不審に思った。

「あたしのカードってもう期限切れてたっけ?」
「貴方のカードはドイツで作られた物でしょ?」
「そうだけど、共通じゃないの?」

リツコは煙草に火をつけ、一口吸うとゆっくりと吐き出した。
「見る事が出来る情報のレベルを上げてあるわ、後は自分で判断して頂戴」

「へぇ〜何処まで見られるの?!」
「全部よ」
「へっ?」
アスカは驚愕した。
アスカの知識では、NERVが全てをパイロットに見せる事等、有り得ないのだ。

「まず、第三使徒戦の後、SCSとの交渉があったの、その後の発令所の映像を最初に見る事をお勧めするわ」
「ここで、見ていい?」
「どうぞ」
リツコは、空いている端末を指さした。

暫くデータを検索していたアスカが突然大声を上げた。
「な、何よこれ〜〜〜っ!」

「それが真実よ」
そう言ってリツコはアスカの見ているディスプレイを覗いて顔が引き攣った。

そこに映し出されていたのは初号機のエントリープラグの中に座りチャイナスーツ姿で微笑んでいるシンジだった。

「貴方の興味はまずそこだったのね」
リツコは溜息をつき、自分の席へ戻った。

暫く端末の前から離れないアスカ。
伊達に大学は出てないわねとリツコは思っていた。

トウジにも同じレベルのカードは与えている。
しかし彼は「わしには難しい事は、解りませんわ」と言い見ようともしなかったのである。

彼の気性なら知れば暴れるとは思ったが、今のリツコはもう隠す気はなかった。
それよりも今、気になっているのはミサトの方であった。

「こいつ、一体、何者なのよ」
アスカはポツリと呟いた。

そこに映っているのは饒舌にペラペラと極秘事項を話す太平洋でみた銀髪に紅い眼の将官だった。

「シンジ=アンガー、SCSの司令よ」
「シンジ・・・」

「そう言えばサードと同じ名前ね」
「この一緒に居るファーストを大人にしたようなのは?」

「レイ=アンガー、同じくSCSの副司令よ。でも貴方レイと面識なんてあったかしら?」
「えっ?あぁチルドレンの事はドイツで調べて写真を見た事あるだけよ」
アスカは咄嗟に誤魔化した。

「それも偶然の一致かしらねぇ同じ名前って」
リツコは眼で見て同一人物ではないと判断していたが、その偶然は怪しすぎると今更ながら感じたのだった。

「成る程、そう言う事ね」
アスカはそう言うとニヤリと笑っていた。

「ねぇリツコ、こいつらと連絡取れないの?」
「国連の専用周波数でコンタクトして見れば応答はあると思うけど、私的に連絡を取る方法は知らないわ」
「そう」
アスカはディスプレイに向かって検索を始めていた。

プシュッ

ノックも無く扉が開きミサトが入って来た

「あらアスカ、ここで何してるの?」
「ミサト!ノックぐらいしなさい!」

「てへっゴミンゴミン」
そう言いながらミサトは悪びれもせずリツコの部屋のコーヒーメーカーからコーヒーを注いでいた。

「でぇアスカは何を見てるのかなぁ、ちょっと!」
ミサトはアスカのディスプレイを覗きこんで絶句した。

「駄目よアスカ、これはS級の極秘事項よっ!」
そう言ってミサトはアスカのディスプレイを消そうとする。

「ミサトッ!いい加減にしなさいっ!」
「リツコ?」
リツコの叱責にミサトは驚いた。

「貴方だって隠されてて良い気分はしなかったのでしょ?」
「そんな事言ったってこの子達はまだ14歳なのよっ!」
「だからって本部の人間は皆知ってる事を知らさないで、貴方はエヴァに乗せ続ける気なの?!」
「そ、それは・・・」
ミサトは言葉に詰まった。

「周りの人間は全員、パイロットの近親者の魂がインストールされている事を知っている、それを本人だけに知らせないまま貴方は乗せるって言うの?!それが、偶々誰かの口から本人の耳に入った時、貴方はどうするつもりだったの?!」
「ぐっ・・・」
ミサトは言葉に詰まった。
そんな事は全く考えていなかったのだ。
ただ、本人に知らせると乗らないと言い出すと思い知らせる必要はないと思っていた。

「ふぅ凄いわね、このSCSの司令って、殆どMAGIが隠してた事を正確に話したのね」
「アスカ?」
ミサトは平然としているアスカを訝しんだ。

「貴方、お母さんの魂が、その、・・・」
「エヴァにママが居る事は前から感じていたわ」
「「何ですって!?」」
これにはリツコも叫んでしまった。

「ママを感じてママを受け入れないとシンクロ率は上がらないわよ」
「そ、そうだったの・・・」
シンクロの体感はリツコにも解らない。
それがシンクロ率を上げる事になるとは思いもよらなかったのだった。

「それより、ミサト、あんたSCSと連絡取れるでしょ?」
「へっ?」
「作戦部なんだからそれぐらい出来るんじゃないの?」
「えっええ、国連の専用周波数でなら呼び出しは出来るわよ」
ミサトにはアスカの意図が解らずシドロモドロに答えた。

「じゃぁ繋いで」
「作戦行動じゃなく繋ぐのはちょっち・・・」
あまり関わり合いたくないミサトは乗り気ではない。

「エヴァのパイロットが作戦について意見を聞きたいって言ってるとか理由なんて幾らでも付けられるでしょ!」
「わ、解ったわよ、じゃぁ発令所に行きましょ」
アスカの剣幕に押されミサトが折れた。



発令所ではシゲルがSCSに呼び出しを掛けていた。
指揮権の委譲は司令部の仕事のためシゲルはその呼び出し方法を知っていたのだ。

『SCS参謀、アンガー准将です。何か御用でしょうか?』
カヲルが通信に応答した。

「エヴァ弐号機パイロット総流=アスカ=ラングレーです。シンジ=アンガー司令にお話したいことがあるのですが」
アスカがいつもの調子よりは僅かに丁寧に言葉を発した。

『解りました、司令もお話したいそうですので、30分後にお迎えに上がります。NERVのゲートでお待ち下さい』
「了解」
アスカはそう言って通信を着切ると、発令所を出ようとした。

「ちょ、ちょっと待ちなさいアスカ、一人で敵地に行かせる訳には行かないわ!」
ミサトが叫んだ。

「あんた馬鹿ぁ?!なんで敵地なのよ」
「そ、それは奴らはうちの諜報部を壊滅させて、ここを一度占拠しているのよ!」
「それはNERVがあいつらを殺そうとしたからでしょ!?」
「ぐっ・・・」
「大体、同じように使徒を倒していて、NERVは何度も助けて貰ってるじゃない、なんでそれが敵になるのよ」
アスカのミサトを見る眼が冷たい。

「占拠したって言っても、その後すぐ解放しているじゃない、敵視してるのは司令とミサトだけじゃないの?」
「そんな訳ないでしょ!」
ミサトは叫んだが同意してくれる者は発令所には居なかった。

「ミサト、あんた何をムキになってるの?使徒なんて誰が倒してもいいじゃない」
「へ?」
これにはミサトが呆気に取られた。
エヴァで一番であることが最重要事項であったアスカからこの様な言葉が出るとは思えなかったのだ。

呆気に取られているミサトを尻目にアスカは発令所を後にした。



ゲートに居るアスカは心持ち機嫌良く見える。
あれから与えられた居住区に戻りシャワーを浴び、服を着替えてここに居るのだ。

時折ニヤニヤするアスカにゲートに居る守衛も引き気味だった。

そこに周りの空気を押し上げハリヤー型戦闘機が降りて来た。

そこから出てきたのは太平洋で見た銀髪に紅い眼にアルカイックスマイルを貼り付けた美男子だった。

それを見たアスカは少しガッカリしている様に見えた。

「やぁお待たせしたね。迎えに来たよ」
そんなアスカを微笑んで見ながら、カヲルはそう言うとアスカを戦闘機に乗せた。

「何で戦闘機なの?」
飛行中、アスカは率直な疑問を述べた。

「NERVの監視が着いて来るのも鬱陶しいんだけど、何より速いからねぇ」
カヲルは事も無げに言った。

(何で戦闘機を自家用車代りに使ってるのかって聞いたつもりだったんだけど・・・)

アスカのその疑問はすぐ解決した。

「キャァ〜〜〜落ちるぅ〜〜〜」

ハリヤー型戦闘機の癖に海に入って行ったのだった。

「な、何なのよ、この戦闘機は」

アスカは常識外れなその戦闘機の行動に疲れた。

そして戦闘機を降り、応接室らしきところに案内された。

そこに暫くして入って来たシンジとレイとカヲル。

「やぁアスカ、久しぶりだね、いや、オーバーザレインボーで会ったか」
シンジが開口一番にそう言った。

「やっぱりあんたバカシンジだったのね、と言う事はそっちはファーストね」
アスカは聡明だった。
元々、自分が時を逆行したと思った時にシンジ達も逆行しているのではないかとは考えていたのだ。

「そのようだね」
「・・・そうよ」
シンジとレイはあっさり肯定した。
アスカを見るその眼は優しく懐かしさを込めた瞳だった。

「全くバカシンジの癖に随分引っかき回してくれたみたいね」
アスカは「ふんっ」と鼻息を荒くして言った。

しかし、次ぎの瞬間アスカの眼は潤んでいた。

「バカシンジッ!独りだと思っていたんだから!あんたが死んだって聞いた時、泣いてあげたんだからねっ!」

「ごめん」
「バカッ!全然変わってないんだから」
そう言ってアスカは泣き笑いの顔となった。

レイがハンカチをアスカに差し出した。
アスカはそれを取ると涙を拭き「ビーーッ」と鼻をかんだ。

「それで、あんた達は何をしようとしているのよ。初号機は破壊したみたいだからサードインパクトは起こせないわよね?アダムもどうせこの間の太平洋で細工したんでしょ?」

「へぇこれは聞きしに勝る明晰な頭脳だねぇ」
カヲルが誉めた。

「あんた誰よ」
「僕はカヲル、今はカヲル=アンガー、君達と同じ仕組まれた子供。フィフスチルドレンさ」
「そう、あんたがフィフスだったの、てことは戻って来なかったチルドレンはあのジャージだけね」
「まぁ彼は有る意味、特別だからねぇ」

「で、あんた達は何をしようとしているの?後は使徒を倒すだけ?」

「まだ弐号機があるよ」
「へ?」
アスカが素っ頓狂な声を上げた。

「結果がどうなるか解らないけど、弐号機でも儀式は執り行える、いや、S2機関を取り込み依り代となるパイロットがいるならどのエヴァでも」

「そう、じゃぁエヴァの破壊もあんた達はやろうとしているのね」
「必要になればね」

アスカは俯いている。
何かを考えているのだろうと、3人はアスカが顔を上げるのを待った。

暫く沈黙が続いた後、アスカが顔を上げた。
「そっかぁ、長い目で見ればあたしも何時までもエヴァに乗って居られる訳じゃないしね。でももう暫くは待って貰える?まだ踏ん切りが着かないわ」

その言葉を聞いてシンジは安堵し、レイは眼を丸くした。
「解ったよ、それでアスカはこれからどうするつもりなの?」

「うーん、暫くはエヴァに乗って使徒殲滅かな?でも空から落ちて来るのとか虚数空間の奴ってあんまり戦いたくないわね」
アスカはのほほんと言った。

「あっそう言えば、あのジャージに取付いた奴ってどうなるの?」
「・・・バルディエルは既に取付いているわ」
レイが事も無げに言った。

「えっ?じゃぁ何時使徒になるか解らないって事?!」
「・・・いいえ、使徒は順番通りに現れるわ」

「何それ?どういう事?」
「使徒って言うのはアダムなんだよ」

「は?それって第壱使徒?」
「そう、アダムが身体を代えて成長しているんだ」
シンジが補足した。

「そして第壱拾七使徒まで倒されるとアダム本体に魂は帰るんだよ」
「はぁんそう言う事だったんだ」

「アスカは僕達の敵じゃないよね?」
シンジが心配そうに言った。

「はん!相変わらずバカシンジね!なんであたしがあんたらの敵になんなきゃいけないのよ!」
アスカは心外とばかりに言い放った。

「じゃぁ会って貰いたい人達が居るんだ」
そう言ってシンジは、インターフォンを押し「入って来て」と言った。

入って来たのは碇シンジと綾波レイ。

「シ、シンジにファースト?」
綾波レイについては髪の色と眼の色が違うため自信がないようだ。

「この時間軸の碇シンジ君と綾波レイさんだよ」
シンジが紹介すると2人は頭を下げて「よろしく」と言った。

「こちらが弐号機パイロット、セカンドチルドレンの総流=アスカ=ラングレーさん」
アスカが惚けているのでシンジが紹介した。

「よ、よろしく」
なんとか、それだけを言うアスカだった。

「はぁ・・・成る程ねぇ、こっちのファーストは色が付いているのね」
「・・・レイさんにリリスの因子を取って貰ったから」
綾波レイがおずおずと言った。

「そう言う事、本当、思いっきり引っかき回してくれてるわね」
アスカはソファーに仰け反った。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。