第2話・制裁、そして始まり



シンジとカヲルは、黒い渦から出ると、リュックとスポーツ・バッグをもち、公衆電話の前に立っていた・・・・・・

戻ってきたのだ、初めて第3東京市を訪れた。たくさんの出会いのがあったあの日に・・・・・

「能力は・・・うん、使える。」

手の中で、バタフライナイフを造り出すと、それをポケットの中に入れた。

「大丈夫なのかいシンジ君?」

心配そうに見ていたカヲルがシンジに声をかけていた

「大丈夫だよカヲル君、この世界は絶対にあの道を歩ませはしない。あんな世界あっていいはずがないんだから」

そういうとシンジはカヲルに微笑んで見せた

「本当に君は好意に値するね。好きってことさ」

顔を紅くしたカヲルにシンジは気をよくしたかさらに微笑んでいた

ドーン

あわてて空を見上げるとさっきは戦闘機の音はひとつだったが、今は5機程に増えていた。

「僕を邪魔するなんて非礼に値するね。嫌いってことさ」

「だめだよカヲル君、今はNELVに任せておかないと。でも・・・第3使徒 サキエルか、A.Tフィールドがあるのにミサイルなんて無駄だな。」



某所

「正体不明の移動物体は以前本所に向けて進行中」

「目標を映像で確認、主モニターに回します」

「15年ぶりだね」

「ああ、間違いない、使徒だ」



しばらくすると、気配を感じたのか、そうするのが必然だったのか、シンジとカヲルは見上げていた視線を左の道路に移した。蒼い髪の華奢な少女が儚げに立っていた。

「・・・レイ・・・」

「・・・リリス・・・」

道路際の街路樹から鳥が飛び立ち音を立てるが、彼らの意識は少女から離れはしなかった。

少女はちょっと小首を傾げて微笑む。

その時、反対側の道から車の爆音と、怪獣のようなものが歩いてくる音が響く。

一瞬、視線を逸らしたが再び少女がいた場所に戻した。が、既に少女の姿は消えていた。

彼らは呆然と佇んでいた。

使徒の攻撃で戦闘機がなぎ落とされシンジに直撃する。

しかし、微弱のATフィールドによって阻まれた。

「自動防御か・・・いらないと思ったけどいきなり役に立ったな。カヲル君、大丈夫?」

「問題ないよ。少しほこりが飛んできたけどね」

ものすごいスピードで青いルノーが着たかと思うと、シンジの目の前で見事に止まった。

「ごめん、お待たせ。あなたが碇シンジ君ね。私は葛城ミサト、よろしく。・・・ってその子は誰?」

ミサトは思いもよらぬカヲルの登場にただ驚いていた

「あの、ミ・・・・いえ、葛城さん?」

「ミサトでいいわよ」

「じゃあ、ミサトさん、彼は渚カヲル。僕の大切な友達です」

カヲルはよろしくといいながらミサトに頭を下げた

「そんなこといってる場合じゃなかったわ早く乗って」

「「わかりました」」



「ところでシンジ君」

「何ですか?」

「彼をあなたと一緒に連れて行くわけにはいかないわ」

ミサトはそのほうがいいだろうと思い切り出した

「なぜです?父に会うだけなのでしょう?」

「彼を巻き込んではいけないわ」

その言葉を聴いたときカヲルが口を開いた

「巻き込む?何に巻き込むんだい?」

「僕はただ父に会うためにきたんです。ほかの目的はありません。どうしてもというならカヲルを同伴させてください」

もちろんほかの目的だけのためにきたのだが、やはり本当の目的をいきなり話すわけにもいかないし、話しても信じてもくれないだろう

「しょうがないわね」

そういうと、ミサトは今から友人リツコへの言い訳を考えるのだった

「ところでミサトさん。あのヒゲ親父はまだ生きているんですか?」

急に態度が変わったシンジに若干おどろいたミサトだった

(報告書とはだいぶ性格が違うわね、あの少年のせいかしら)

「・・・・ヒゲ親父って碇司令のこと?元気よ。どうかしたの」

「そうですか・・・元気に・・・ねえ」



「なぜだ!直撃のはずだ!」

「正射隊は壊滅、誘導兵器も砲爆撃もまるで効果なしか」

「だめだ!この程度の火力ではらちがあかん!」

「やはりATフィールドか」

「ああ、使徒に対して通常兵器では役に立たんよ」

pipipipipipipi

「わかりました。予定どうり発動いたします」

以上某所でのどうでもいい会話でした。



(こんなところでN2兵器なんか使われたらたまったもんじゃないな、特に俺が。上の物体もおもいしな〜しょうがない多少いじっておくか)

そう思いながらシンジはN2兵器にいたずらをしたのだった。もちろん不発になるように
「まさかN2地雷を使うワケ!?伏せて!」

しかしいつまでたっても爆風は来なかった

「あの〜どいてもらえます?」

「シンジ君が明らかに重そうですよ」

‘プチ’そんな効果音がふさわしい音とともに鬼が顔を上げた

「誰が重いですって〜〜」

そうわれながらカヲルは一撃で沈黙した

(カヲルを一撃で倒すなんて、使徒倒すのミサトさんだけで十分なんじゃないか)



特務機関NERV・ジオフロント

「ミサトさん、この道さっきも通りましたよ。」

「迷ったね」

「う、うるさいわね、システムは使うためにあるのよ」

そういうと友人であるリツコをよびだした

「はぁ、なにやってたの葛城一尉。人手もなければ時間もないのよ」

「ゴミン」

「例の男の子ね。あら、この子は?」

「彼は渚カヲル君、シンジ君の親友だそうよ」

「ちょっとそんなことだけで連れてきたの?どうなっても知らないわよ」

「しょうがないじゃない、彼も一緒でなければ来ないって言うんですもの」

ミサトとリツコの後ろについて行くと、真っ暗な部屋に案内された。

「真っ暗ですね・・・」

シンジの言葉に反応したのか一気に全部のライトが点灯された。

シンジとカヲルは目の前にいる初号機を無表情に見つめていた。

「これは、人の造り出した究極の汎用人型決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン。 その初号機。建造は極秘裏に行われた。我々人類の最後の切り札よ」

その様子を驚いていると思ったのか自慢げに説明を始める。

「・・・これがヒゲの仕事ですか?」

「そうだ!!久しぶりだな、シンジ・・・」

 降ってきた声に上を見上げると、若干キレぎみの一人の男性がガラス越しに話しかけてきていた。

「ふっ出撃・・・」

ゲンドウはシンジの言葉など無視して出撃命令を出す。

「出撃!?零号機は凍結中でしょ!?」

「初号機を使うわ。」

「レイは動かせないでしょ?パイロットがいないわよ。」

「たった今届いたわ。」

「・・・マジなの?」

 ミサトとリツコの声がゲージに響きわたる。

「シンジ!!お前が乗るのだ!!」

 さらにゲンドウが命令を下す。

「いいだろう、乗ってやる。ただし条件がある。まず、住居の用意だ。場所はここの中でなければどこでもいい。20人程度が住める広さのな。
次に一回の出撃に対して一億ほどいただこうか、出撃以外にはそれなりの階級とそれに見合った報酬をもらおう。階級は・・・そうだな一佐でいいだろう。
あと俺に対しての命令権を破棄してもらう。それと黙秘権をもらうぞ
あと、俺やカヲル、俺の家族に対しての監視、護衛は一切認めない。それとあとでお前と話をする時間をとってもらおうか、それで今回はとりあえず乗ってやる」

「いいだろう、早くいけ」

「いいのか碇、我々のシナリオと違うぞ」

「問題ない」

「ならばいいが」



「では、リツコさん。説明をお願いします。カヲルはちょっとまってて」

(レイの様子を見てきてくれないか?あと下にサキエルを落とすから回収よろしくね)

(了解したよ)

リツコの説明を聞く振りをしながら、お互いATフィールドを使って会話をした後、エントリープラグへ入っていった。



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。