第4話・見知らぬ、天井


「カヲル、サキエル待たせたね」

シンジはカオルとサキエルの待っている森に来てた

「お前がシンジか?なぜこうなっているのか説明してもらおうか?」

普段は大人しいサキエルだが、状況が状況なため気が立っているようだ。カヲルは後ろで苦笑していた

「とりあえず場所を変えるよ。こんなところでは話せないからね」

そういうと三人は地図を頼りに歩き出した


たどり着いたのはジオフロントから三キロ程度のところであり、マンションひとつ丸々だった。シンジがマンションを前に手をかざし、結界を張って盗聴、盗撮のカメラを無効化させた。あとN2爆雷程度なら防げるほどの防御力がついていた

「あとこの指輪をつけて。誰か一人が持っていれば全員が入れるから。つけてないと・・・死ぬよ・・・」

そう言いながら指輪を二人に渡した

部屋に入ると、三人はそれぞれソファーに座った

「さあ、話してもらおうか私をこんなにした理由を」

「まだわからないのかいサキエル・・・」

そういうとシンジは力を多少解放した

「この波動は・・・まさか・・・ならなぜここに・・・」

サードインパクトで神となったシンジ。神は使徒達の創造主であり、全知全能の存在。しかし、この世界にはもう元の神は存在しない・・・

そしてシンジはサキエルにすべてを語った

「君はどうするサキエル・・・敵に回るかい?」

「そんなはずはありません。遥か昔から我ら使徒はあなた様の僕」

「よかったねシンジ君」

お互いに笑みを浮かべ、サキエルは新たなる神に歓喜をおぼえていた

「でも様づけは照れるから・・・シンジでいいよ」

「そういうわけにはいきません。シンジ様と呼ばせていただきます」

それを見ていたカヲルが笑いながらこたえた

「無駄だよシンジ君。彼女は一度言ったら有限実行だからね」

カオルに言われると、シンジはあきらめがついたようだ

TRRRRRR

ちょうどそのとき備え付けの電話が鳴った。電話の主はミサトのようだった

「シンジ君。明日からそこの二人と一緒に学校に行ってもらうわ。」

「あれ?ばれてました?」(まあこれくらいは諜報部でもできるか。素性はわからな いだろうけどね)

「転校手続きは明日学校でやってもらうから早めに行ってね」

「わかりました。では」

電話を切るとカヲルが話しかけてきた

「誰からだい?」

「ミサトさんだよ。さすがに諜報部もそこまでばかじゃないみたいでね。明日から学校に行ってくれってさ」

「そうかい。楽しみが増えるね」

「シンジ様、学校とは?」

何のことだか今一状況が飲み込めていないサキエルが質問をしてきた

「学校というのは、たくさんの子供に勉強を教えるところだよ」

「なら私は問題ありません」

たしかに使徒たちは意外にも知能が高く、一度見たことは絶対に忘れない。学校など行かなくても問題はないのだが・・・

「これも命令だしね。それにサキエルはもう少し人間というものを知ったほうがいい」

「わかりました。すべてはシンジ様の御心のままに」

サキエルは納得したようである

「ところでシンジ君」

「何にカヲル君?」

「サキエルに名前をつけてあげないとね。いくらなんでもそのままはまずいだろうし ・・・」

「そうだな・・・水の天使サキエルだから・・・サキでいいだろう。苗字は碇だ」
(ありきたりですいませんm(_ _)m)

「ではそのように」

「じゃあ僕も碇の姓をもらうよ」

「なぜだ?渚があるじゃないか?」

そのことを不思議に思ったシンジだが、すぐに答えがでた

「だって、僕らは家族じゃないか」

そのひとことで、カヲルも碇を名乗ることが決定した

碇カヲル・碇サキ誕生

その後はこれからの計画をサキエルをふまえて話し合った



翌日・病院  6:00

レイの病室にはゲンドウが訪れていた

「レイ調子はどうだ」

「・・・問題ありません」

「シンジと会ったそうだな」

「・・・はい」

レイが淡々と答える中、シンジの名前が出ると顔が少し紅くなった

「お前は約束の日のために生み出された。忘れたわけではあるまい」

当然‘はい’と答えると思っていたゲンドウだが、その予想は大きく覆された

「私はあなたの人形ではありません」

「それはどういう意味だ」

「・・・・・・・・」

「まあいい、もう退院しろ。怪我は完治している。今日は家で養生していればいいだろう」

「・・・はい」

言い終わるとゲンドウは病室を出て行った

「・・・爺さんは用済み」

ゲンドウが出て行ったあとレイは静かにつぶやいた


シンジ邸    6:00

「「「おはよう(ございます)」」」

挨拶を交わすと三人で朝食を作り食べていた

「今日は学校へ行くんだったな」

「そうだよ。でも制服はどうするんだい?」

「制服?」

また一人取り残されてしまうサキ

「サキ、制服というのは学校での正装だよ。今日は用意していないから私服でいいだろう」

サキとカヲルはそろってうなずいていた。その後は食事に舌鼓をうっていた。


通学路     7:30

シンジ・カヲル・サキは思いのほか・・・いや、予想どうり注目を浴びていた。近いからという理由で歩いていこうということになったまではよかった。問題は服装である。

シンジは黒のジーンズに上も黒のTシャツ。対照的に、カヲルは白と青で構成された、明るいイメージ。しかしサキはというと・・・なぜかチャイナ服を着ていた。当然周囲の注目を集めることになる。三人とも美男子・美少女ということもあるが・・・



学校・職員室     7:50

「おはようございます。今日からお世話になる碇シンジです。」

「碇カヲルです」

「碇サキだ」

挨拶をした後、担当教師についていき、教室へと向かった



教室       7:40

「なんや、えらい減ったな」

「疎開だよ、疎開。こんな街の中であんな事件が起こったからね」

「喜んでるのはお前だけやろうな。生のドンパチ見れるよってからに」

「まあね」

トウジはケンスケがマニアであることを当然ながら知っているのでからかっていた

「どうしたのさ、ここんとこ休んでたじゃない」

「この間の騒ぎで妹のやつが怪我したんや。親父は仕事やし、俺がついてやらんと誰も居らんようになってまう」

「そっか、ユキちゃんがねえ」〔ユキはこの物語の中でのトウジの妹の名前です〕

ちょうどそのこまでいうと、委員長である洞木ヒカリがさけんでいた

「鈴原、先生来るわよ。席につきなさい」

その声にトウジは、わかっとるがなといいながら席に着いた

しばらくすると、クラス担任である老教師がはいってきた

「今日は三人の転校生が来ています。両親の仕事の都合で第二東京市から第三東京市に引っ越してきたそうです。仲良くしてあげてください。では、入ってきなさい」

そういわれるとシンジ・カヲル・サキの順番で教室に入ってきた。

いずれのときも歓声が上がり、三人はクラスに受け入れられた。当然のことながら質問攻めにあったが・・・その内容は「彼女はいるの」とか「どうして引っ越してき た」などである

そして授業中、シンジのPCのディスプレイにメッセージがきていた。

『碇君があのロボットのパイロットて本当? Y/N』

多少迷いながらも予想内だったのでYesと答えた

「「「「「「「「「「「「「ええええええええええええーーーーーーーーーー」」」」」」」」」」」」」」

今のメッセージは全員に自動配信されているようだった。

「静かにしてよ!授業中でしょ!」
ヒカリが叫んでも全くの無意味で、シンジの回りに人だかりができるだけだった。担任の老教師もセカンドインパクトの話で思いに浸り、諦めているようだ

『どうやって選ばれたの』とか『必殺技とかあるの』などきかれ、またも質問攻めにさるシンジ。多少キレぎみである。その横で呆れて静観しているカヲル。そして一番危ないのが、自分の主が嫌がっているのに爆発寸前のサキである。しかし(こんなところで怒ってはいけないよ。学校がなくなってしまうからね)というシンジの言葉に自分を押さえていた

なんだかんだで昼になり、学校で楽しみにしている人が多い時間となった。三人は朝作った弁当を屋上で食べようと移動し出した。すると一人の男子生徒に呼び止められた

「ちょっとまてや」いわずと知れた鈴原トウジである。‘なに’とシンジが聞くといきなり殴りかかってきた。シンジは少しのけぞってよけた。
「よけるな!!ワイはお前を殴らなあかん!殴らな気が済まへんのや」
そう言うと再び殴りかかるが、今度はサキによって手を掴まれた。サキが怒っているのは誰の目にも明らかだった

「我が主を傷つけようとする存在、それら全てに死を!」
ボキッという音と共にサキの掴んでいたトウジの腕の骨が折れた…そして手刀で心臓を貫こうとしたとき
「サキ、止めろ」
シンジがサキを制した。サキは‘しかし…’と言ったがシンジの言葉に従った
シンジは、手をかばいながらうずくまっているトウジに声をかけた

「なぜいきなり殴りかかったんだい?」

トウジは痛がりながらもこたえた

「・・・ワイの妹が・・・怪我して入院しとんのや・・・・なんでだかわかるか?・ ・・おまえが・・・ヘボイ操縦しとったから・・・やぞ」

そのトウジの言葉にシンジは切れた

「ヘボイ操縦?誰がそんなことわかるんだい?俺は戦闘での被害は最小限に抑えたはずだ!君が見ていたのか?それとも君の妹が怪我をしたからか?」

「妹が・・・怪我したからにきまっとるやないけ・・・味方が暴れてどないしよるんじゃ・・・あほ」

「じゃあ聞くけどね、君の妹は何で外にいたんだい?避難勧告は一時間も前に出ていたんだ!外に出ている妹のほうがおかしいじゃないか!八つ当たりならよしてくれ!
それに、これ以上続けると君の命も危ないからね」

そういうとシンジは二人を連れて去って行った

しばらくして「鈴原!!?どうしたの」という声が聞こえていた



屋上

シンジ達は三人で昼食を食べていた

「ところでシンジ君、さっきはよかったのかい?」

「そうですよ、シンジ様。止めていただかなくてもよかったのに」

「・・・サキ、そういうことじゃないんだよ」

カヲルが軽くサキにツッコムとシンジが口をひらいた

「俺だって仲良くはなりたいよ。でもね、そうだとつらいことも多くなってしまう。トウジにとってね」

「とにかく、シンジ君がそれでいいならそれでいいけどね」

そこまで言うとカヲルは続きを食べだした。

「そうだ、学校が終わったら三人でNERVにいくけどいい?」

「私はかまいません」

「僕もいいけど何しに行くんだい?」

「サキの顔見せと、初号機の中の碇ユイについてと、初号機本心であるミカについてだよ」

「そうか。なら問題ないよ」

「帰りにレイにも会っていこうか」

「「うん(はい)」」

そして放課後、三人はNERVへと向かった



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。