「う〜、まだ頭が痛む・・・・・・。」

シンジは昨日のことを思い出しているうちに腹が減ってしまっていたのでどこか売店へ行こうと歩を進めていた。

「・・・・・しかし、あの黒いエヴァって・・・・夢だったのかなぁ。」

最後に見た記憶を思い出したが、あの時は激しい痛みで頭が朦朧としていた為、記憶がはっきりしない。

また思い出したとき、腹からグ〜と鳴ってしまった。

「・・・・・・腹減った。」

そう言いながら、腹を満たすために売店へ歩を進めて行ったのだった。

その途中、ひとつの病室を過ぎて行った。

ネームプレートには“綾波レイ”と刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―EVANGERION―

Another Story

漆黒の騎士と白衣の天使

 

―第三話−

---Two people who come across you---

---巡り合う二人---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い壁に天井。そして、白いカーテンの陰から日差しが射す。

その病室に一人の少女が眠っていた。

少女は白い包帯を頭に巻き、右腕にはギプスが付けられていた。

日差しが彼女の蒼銀の髪に射し込む。

その光は反射して、一層透き通るように輝いていた。

その場に人がいたら誰もが答えただろう。

“天使のようだ”と。

やがて少女、綾波レイは目を覚ます。

とその時、一人のむさくるしいおっさん・・・もといNERV総司令碇ゲンドウが病室に入ってきた。

発令所での格好とは変わらず、NERVの紅いロゴに黒い布地の制服を着ていた。

しかも、無精ひげにサングラス。

はっきりいって怖い。

しかし、綾波には怖いとか言う概念はない。

というか知らないのだ。

やがてゲンドウが口を開く。

「どうだ?体の調子は?」

綾波はゲンドウに視線を向ける。

「はい、問題ありません。」

「そうか。」

そういって、体を後ろに向けて、病室を出る。

見舞いとは思えない。

しかし、綾波はゲンドウが見舞いに来ていただけで顔を綻ばせていた。

病室は静かになる。

暫くして、病室に変化が起こる。

突如、病室の白い壁に楕円形の黒い影が現れる。

それは、縦に影は渦巻くようにうごめいていた。

そこから、顔をフードで覆い隠し、漆黒のコートを来た人物が現れた。

綾波は表情こそ変わらないが目には驚愕の色が見えていた。

やがて、影は小さくなり消えた。

謎の人物は綾波に近づく。

そして、彼女のそばに近づいたところで止まる。

彼女はじっと謎の人物を見つめる。

謎の人物もまた彼女を見つめていた。

しばらく、沈黙が続く。

その沈黙を先に破ったのは綾波だった。

「・・・あなたは誰?」

「始めまして、綾波レイ。俺はシャドウ。本名は訳があって言えない。」

「・・・・・どこから来たの?あの黒いのは何?」

綾波は警戒しながら、彼に尋ねた。

「悪いがどこから来たのかは言えない。あと、あれはちょっとした特殊能力さ。」

「・・・・・あなたは使徒なの?」

「残念でした。生憎、俺は人間さ。」

シャドウは手を開いて答える。

「ところで、その怪我はどうしたの?」

「あなたには関係ないわ。」

綾波はそっぽを向ける。

「まぁ、さしずめ零号機の起動実験に失敗して、怪我したのだろ?」

「!・・・・・どうして、知っているの?」

綾波は驚きながら、再びシャドウに目を向ける。

「秘密♪」

シャドウは指を口元に付けて、言った。

「・・・・・」

「・・・・・」

暫く、病室に沈黙が流れる。

シャドウは立ちつかれたのかそばに置かれていたイスを手に取り、座る。

そして、誰かが見舞い品として置いた果物の入ったバスケットからりんごをひとつ取る。

机の上に置かれた果物ナイフを取り、りんごをむき始めた。

しかも、ご丁寧にうさぎカットで。

それを皿にのせて、綾波に差し出す。

「食べるかい?」

「・・・・・いらないわ。」

「そっか。じゃ食べてもいい?」

「・・・・・構わないわ。」

そういって、シャドウはりんごをひとつ、手に取りおいしそうに食べる。

綾波はおいしそうにりんごを食べているシャドウを見ている。

「おいしい?」

「ん?おいしいよ。ひとつどうだ?」

シャドウはフォークを取って、りんごに刺して綾波の前に差し出す。

「・・・・・いただくわ。」

「ちょっと待った。あんた、怪我しているだろ。俺が食べさせてあげるよ。」

「・・・・・右手が開いているわ。」

「とはいえ病人だろ?体は無理に動かすと良くないよ。」

「・・・・・わかったわ。」

綾波から了承をもらうと彼は彼女の口に運ぶ。

それを一口食べる。

心なしか綾波の頬にすこしほんのりとピンクになっていた。

今までに人に食べさせてもらったことがないのだろう。

おそらく、ゲンドウにも。

ゲンドウが綾波に食べさせている姿を考えてみた。

・・・・・ぶっ!やばい!笑いが抑えられない!しかも、似合わねぇ!

心の中でシャドウは大爆笑だった。

「?」

綾波はどこか肩を震わせている彼を見て、首をかわいらしくかしげる。

“あ、かわいい。”

などと思うシャドウであった。

暫く、二人でりんごを食べていたが、やがてこっちに向かってくる気配シャドウは気が付く。

“・・・ここから約二百メートル先に二つの気配が近づいている。そろそろ行くか。”

「ごめんよ。俺はもう行かなくちゃ行けない。」

「・・・・・また来る?」

綾波は彼に聞いた。

“どうして、こんなことを聞くの?”

“彼が何者なのかわからないのに。”

“彼がそばにいると安心する。・・・どうして?”

綾波は心の中に彼にいてほしいと思う自分がいることに困惑している。

「う〜ん、それはちょっと難しいなぁ。」

「・・・そう。」

綾波はどこか寂しげに呟く。

それをシャドウは見て、綾波の耳に近づいて呟く。

“大丈夫だよ。あなたが望めば、また会える。・・・それに遠くない未来、またあなたに会うよ。”

そう呟いて、耳から離れていく。

「それとその怪我を特別に治してあげよう。」

「?」

綾波は訳がわからないと言った顔でシャドウを見る。

シャドウは印を結び、呪文を唱える。

そして、魔法の構成を編み始める。

大地に満ちたる命の躍動、汝の傷を癒せ。

やがて、綾波の体に淡い緑色のヴェールに包まれる。

次第に彼女の傷が癒されていく。

「!・・・・・これは何?」

目を開いて、驚く綾波。

「これは俺と綾波だけの秘密だよ。・・・いいね?」

「・・・ええ。」

綾波はまだ驚いてはいたが、何とか受け入れることに成功した。

“もうじき、着くな。急がないと。”

「じゃあ、またな。」

「さよなら。」

「・・・ん〜、違うな。“また、会いましょう”だろ。はい、やり直し!」

「・・・また、会いましょう。」

「そうそう。これからもそうしろよ。じゃ。」

そういって、先ほどでてきた壁に体を向け、右手を壁にむけて空にかざす。

そして、先ほどのうごめく影が作られる。

シャドウはその影をくぐりぬける。

その影はやがて小さくなり、消えた。

その時、ちょうど二人の来客が現れた。

ゲンドウとリツコだった。

「レイ!無事か!」

「レイ!今、ここに黒い人物が現れたでしょう!?どこに行ったの!?」

「・・・・・知りません。」

「「・・・・・・・・・・」」

しばらく、二人は沈黙していたが。やがて口を開いた。

「嘘はいかんぞ。レイ。」

まるで娘をしかるような父親の図だった。

暫く、親子の口げんかみたいなのが1時間ほど続いた。

 

 

 

シンジは売店の前にぽつりと立っていた。

「・・・・・良く考えてみれば僕、お金もって来てないや。どうしようかな。」

売店に来るまでにお金をもって来てないことに気がつかなかったようだ。

とそこにちょうどゲンドウがリツコと一緒に歩いている姿が見えた。

どこか、落ち込んでいるように見えるのは気のせいだろうか、頭を少しうなだれている。

シンジはチャンスとばかりに父の元に小走りで向かった。

「お〜い、父さん。」

周りの人に迷惑に成らない程度に少々大声でよぶ。

ゲンドウもその声に気が付いて、振り向く。

その姿が息子のシンジであるとすぐさま姿勢を整えて、威圧的になる。

「なんだ。」

ぶっきらぼうに返事をする。

「父さん、もしかして僕の見舞いに来たの?」

「・・・・・いや。レイの見舞いに来ただけだ。」

「レイってもしかして、昨日の女の子?」

「ああ。」

「大丈夫だったの?」

「問題ない。」

「そっか。・・・・・で、息子の僕には見舞いのひとつもないんだ?」

シンジは怒りのオーラを少々出しながら言う。

その顔には在りし日の亡き妻ユイとタブり、叱られたときのことを思い出してしまった。

ゲンドウの顔が少しゆがむ。

「・・・・・・・・」

「まぁ、いいや。ちょうど腹が減っていたからパンが食べたいんだけどお金頂戴。」

「・・・・・・・・」

昨日、あれほどの戦闘があったのに、シンジはあっけらかんと言ってきた。

しかも、十年も音沙汰もなかった父に対して、図々しくもお金頂戴と来た。

昨日の今日なのに何故ここまで明るいのか、ゲンドウは理解できなかった。

「・・・・う、うむ。」

シンジの態度に少々驚いたが、どうにかして冷静を装うことができた。

ゲンドウはポケットから財布を取り出し、千円札をシンジに手渡す。

「サンキュ♪」

そういって、踵を返して売店へと向かっていった。

「・・・・・あれはシンジなのか?」

「ええ、DNA遺伝子を調べたところ、あなた碇司令の遺伝子が一致しました。」

「・・・・・他組織の接点は?」

「保安部からのデータからはそれらしきものはありませんでした。」

「・・・・・そうか。」

ゲンドウは踵を返し、NERVへと歩を進み始めた。

それに続くようにリツコも歩き出す。

 

 

同時刻、綾波レイの病室

レイは先ほどのシャドウとの出会いを思い出していた。

“何故、私はあんなことを考えてしまったの?”

“彼と会ったときどこか暖かいものを感じた。”

“碇司令とはどこか違う暖かさを感じた。”

“彼は言っていた。望めばまた会えると。”

“望んでもいいの?私は無に還る存在なのに。”

“胸が苦しい。どうして?”

“わからない。何故?”

“・・・・・・彼はまた会うと言ってくれた。”

“・・・・・・会いたい。”

“この暖かさは何?・・・でも嫌な感じはしない。”

レイは心の中に感情の芽生えに困惑しながらも喜びを感じていた。

その顔は長い付き合いでないとわからないぐらいの笑顔だった。

最も、本人は自覚してはいないが。

しばらく、レイは自問自答を繰り返したり、会話を思い出したりしていた。

 

 

同時刻、某マンション

ワンルームの部屋の真ん中に漆黒のコートの人がいた。

そして、コートの銀の止め具を一つ一つはずしていく。

コートが脱がれて、フードから顔があらわになる。

そこには、黒髪に少々はねた癖っ毛に黒眼。

その顔は幼さが残ってはいるが少し大人びた雰囲気をしていた。

「ふぅ。綾波にコンタクトを取ることに成功したし、あとは戸籍を作らないと。」

シャドウはため息をつきながら冷蔵庫にむかって行った。

そこから、アイスコーヒーを取り出し、食器棚からガラスのコップを取る。

テーブルに戻り、コップにアイスコーヒーを満たす。

それを手に取り、飲み干す。

「ぷはぁ〜。」

飲み干して、窓際のパソコンに歩み、電源を入れる。

「綾波か。・・・あいつの記憶どおり、確かにちょっと無愛想だったなぁ。」

いすに座り、パソコンからデータを呼び出す。

やがて、綾波レイのデータが開かれる。

それから、次々と別のデータを呼び出す。

碇シンジ・人類補完計画・ゼーレ・エヴァ初号機・ゲヒルン・死海文書などさまざまなデータがディスプレイに表示される。

「いくら、あいつから記憶をもらっているとはいえ、調べておかないとな。」

キーボードに指を走らせながら呟く。

暫く、ゼーレがどう動くのか推測するためにさまざまなデータを開く。

「・・・・・と第四の使徒はシャムシエルか。どれどれ?死海文書にはどう書かれているんだ?」

死海文書のデータを開く。

何故、彼がそんなデータを持っているのか?

それは第三使徒が攻めてくる三週間前にMAGIにハッキングをして、手に入れたのだ。

もちろん、ハッキングの痕跡も完膚なきに消した。

MAGIにどうやって、気づかれずにハッキング出来たのか?

それは、MAGIにも追いつかないほどの情報処理のシステムでデータを盗み出したのだ。

見た目は普通のパソコンではあるが、中身が特殊な情報処理のチップが埋め込まれているためだ。

「・・・・・とこんなところか。あとは明日の為の戸籍を作らないと。」

再度、キーボードに指を走らせる。

戸籍のデータに名前が記入される。

そこには“牧野 ショウ”と記入された。

 

 

処変わって、ミサトのルノー内

シンジは機嫌が悪かった。

その理由は数分前にさかのぼる。

シンジは腹を満たすと、病室に歩を進めていた。

病室のドアの横にある自分の名が刻まれたネームプレートを見つけるとその中に入っていった。

ドアが自動的に開かれるとそこには先客がいた。

「はぁ〜い、シンちゃ〜ん。待ってたわよ〜ん。」

葛城ミサトだった。

「・・・・・何の用ですか?」

シンジは露骨そうに顔をゆがめた。

「あなたは大して怪我はないので退院よ。で迎えに来たわけ。」

「結構です。自分で帰りますので。」

ぶっきらぼうに答えるシンジ。

できれば会いたくなかったな。こんな自己中女に。などと考えているシンジであったが。

後にミサトの言葉を聞いて氷化する。

「帰る必要はないわ。あなたは私と暮らしてもらうわ。」

「・・・・・・・・・・はい?」

暫く、頭がフリーズしたがすぐに我をもどした。

「あなたはサードチルドレンに登録されたのよ。だから逃げることは許されないわ。」

あまりにも唐突過ぎた。

しかも、自分になんの断りもなく勝手にサードチルドレンに登録されたのだ。

これだから大人は嫌いだ。

何でも力で屈服させれば、子供はおとなしく言うことを聞くと思っている大人が嫌いだ。

年上に対しては最低限の態度で接するつもりでいたが、あまりにも理不尽だったのでキレた。

「そういうことですぐに準備をして「断る。」・・・・・何故かしら?」

「前にも言ったはずです。僕は、サードチルドレンになった覚えはないし、認めてもいないと。」

「仕方がないわ。上からの命令だもの。」

「・・・ならば僕が直接、父さんに交渉します。」

「え?」

「ちょっと待ってください。」

シンジはそういうと踵を返して、公衆電話の方へいこうと足を進めた。

とそこにミサトから制止の声がでる。

「ちょ、ちょっと待ちなさい!」

シンジの足が扉の前で止まる。

「なんですか?」

シンジの返事は丁寧ではあるが、内心では怒りで満ちていた。

「それは私が認めないわ!」

「なんの断りもなく自分をサードチルドレンだとか訳のわからないことをいわれて、はいそうですかで済むと思っていますか?」

「私から謝るわ。でも、もう決まったことなのよ。」

「謝るだけなら誰でもできます。それに僕は認めない。」

「じゃあ、どうすればいいのかしら?」

「その前に質問があります。」

「何かしら?」

「僕をサードとしていることは他にファーストやセカンドがいるんですね?そのふたりは?」

「・・・・・一人は入院中なの。もう一人は今、ドイツにいてまだここにはいないの。」

「そうですか。じゃ、もう一人の方にこっちに来てもらえばいいじゃないですか。」

シンジはうんざりだと言わんばかりにため息をつきながら答える。

「そう言うわけにはいかないわ!それにあなたがこれからやってもらわなくちゃ人類が滅ぶのよ!」

というのは建前でミサトの思う心は使徒に対しての復讐とそのための駒が去ってしまうということに危惧していた。

自分の復讐のためならば、どんな手だって使う。

それがたとえ子供を戦場に出したとしても。

今、ここで復讐のための駒が消えてはまずいと思って自分がやりますと言わせるように言葉を考えていた。

次の言葉が出てくる前にシンジから放たれた。

それは心を貫くように冷たい言葉の槍だった。

「その人類が滅ぶ前に僕がエヴァに乗って、あなた達NERVを滅ぼしたとしても恨まないならば乗ってやってもいいですよ?」

「!!」

シンジは唇を歪ませながら、不気味に笑った。

それはミサトを戦慄させるに十分な笑みであった。

「・・・・・とっ、とにかくもう決まったことなのよ!あきらめなさい!」

「“聞く耳持たず”ですか?・・・・あなたでは話しになりません。父さんに会わせてください。」

「無理よ!それに司令は多忙よ。だから会うことはできないと思うわ。」

「さっき、父さんに会いましたよ。しかも、息子の僕ではなく、レイとかいう女の子の見舞いに来てましたけど。」

「・・・・・・・・・・。」

「見舞いに来る余裕があるということは多忙とはいいませんねぇ。」

シンジはわざとらしく、腕を組みながら皮肉たっぷりに言い放つ。

ミサトは頭をくしゃくしゃと掻きながら乱暴そうにジャケットの胸ポケットから携帯電話を取り出した。

しばらく、やかましい声が耳に入ったが気にしないふりをした。

やがて、電話が終わったのか叫び声がしなくなった。

「とりあえず、司令と会うことはできるわ。今日ではなくて明日よ。それでいいでしょう?

 今日はもう遅いから私の家に泊まって行きなさい。」

「・・・・・わかりました。」

シンジはしぶしぶ、ミサトの言うことに了承した。

・・・・・と、今に至るわけである。

シンジはミサトと泊まることを断ろうとしていたが、大人との対応につかれてしゃべる気もなれなかった。

暫く、移り変わる景色をぼーっとしながら、窓から眺めていたが不意にミサトから話しかけてきた。

「ちょっと、帰る前に寄り道するわよ。」

ミサトはハンドルを切って、交差点を曲がっていく。

そして、行きついた先は峠の高台の公園だった。

そこから、第三新東京市の町の全体が見える。

「そろそろ、時間ね。」

ミサトがそういいながら腕の時計を見やる。

そして、サイレンの音がそこらじゅうに響き渡る。

シンジは町を見る。

とそこに地下から高層ビルが立ち上がってきた。

次第にそれはオフィス街のように変貌を遂げる。

山から見える太陽の日差しがビルのガラスに反射していっそうまぶしく輝いて見える。

「これが使徒迎撃専用要塞都市、第三新東京都市。・・・・・私達の町よ。」

ミサトはシリアスな雰囲気で話す。

ミサトの目はどこか優しい目で町を見つめる。

「そして、あなたが守った町よ。」

ミサトはシンジの方へ向きなおす。

「悲しい町ですね。・・・・・それに俺はこの町を守るために戦ったわけじゃない。」

「・・・・・・」

「僕は・・・・・レイとか言う女の子の代わりに・・・いや、あの女の子の為に戦っただけです。」

「あら〜ん、もしかして一目ぼれ?やるわねえ、シンちゃ〜ん。」

「勝手に妄想してください。」

おちゃらけた口調でシンジをからかうつもりだったが、シンジの容赦ない一言で沈黙した。

「かわいくない子ねぇ。」

「それは結構。帰りましょう。」

そういって、シンジはルノーに乗る。

ミサトもそれに追うようにして乗る。

そして、二人は帰路につく。

後に、シンジはミサトと泊まることを悔やんだ。

何故なら、部屋は腐海のごとく散らかっていたのだ。

まさに王蟲(オーム)がいてもおかしくないほどだ。

さらには、カレーとは思えないほどの激マズイミサトカレー。

それを食べたせいで頭痛と下痢に苛まれることになった

そして、後にシンジは誓ったのだった。

“もう二度とミサトカレーは食うまい。”と。

そして、シンジは悪夢にうなされながら眠りについたのだった。

 

                            ・・・・・・・・・・To be continued