第弐拾六話
世界の中心で愛を育んだ者達


SCSの艇では、最後まで残っていたNERV職員、約50名程が待機していた。
カヲル達に勧められるまま、食堂で食事を取り談話していたのだが、そのうち自分達の置かれている状況に不安を感じ出していた。

それまでは、極度の緊張と急にそれから解放された事によりハイテンションになっており、そこにある美味しい食事に没頭していたのだが、お腹も膨れ落ち着いてくると色々と考えられる様になってきたのだ。

これから自分達はどうすればいいのか?
NERVはどうなってしまうのか?
そんな先の見えない不安が込み上げてきたのだった。

そんな中でも、冬月達は落ち着いていた。

司令の居ない今、副司令である冬月がここに居る事は、その他の職員達にとっては心強かった。
そして、その冬月達が落ち着いている事により、なんとか皆、パニック状態にならないで済んでいたのだった。


「しかし、我々はこれからどうすれば良いんでしょうね」
シゲルが食後のお茶を飲みながら切り出した。

流石にこの状態でアルコールを摂取する者は居ないようだ。

「我々は、国連に助けを求めるべきだと思う」
「国連にですか?」
冬月の言葉にマヤが聞き返す。

「そうだ、一応NERVは国連の下位組織だ、そこで六分儀には悪いがゼーレと六分儀が行おうとしていた人類補完計画を明るみにし、保護して貰う」
「成る程、それで、なんとかなりますかね?」

そこへシンジ達が入って来た。

「NERV本部が自爆しました」
シンジは開口一番にそれを告げる。

「「「「「!!!」」」」」
職員達は驚いたようだが、冬月達はゲンドウならそうするだろうと納得した。

「これから皆さんを安全な所に送り届けようと思いますが、松代で宜しいですか?」
「ああ、それで構わない、世話になるね」
冬月は礼を述べた。

それを聞き、シンジが頷くとカヲルはオペレータルームへと消えて行く。

「我々は国連にゼーレと六分儀が起こそうとしていた事を暴露し保護して貰うつもりだが、君達は同意してくれるかね?」
「それは証言を求めていますか?」
冬月は暗にシンジ達に後押しを頼んだ。

「ああ、そう言う事になるかも知れん」
「多分、証言台に立つ事は出来ないと思いますが、こちらからも報告はしておきますよ」
シンジの言葉に冬月は意味が解らないと言う顔をした。

『シンジ君、用意が出来たよ』
その時、スピーカーからカヲルの声が響く。

「それでは皆さん、ヘリを用意しましたので、それで松代に向かって下さい。流石にこれで飛び回るのは目立ち過ぎますので」
そう言ってシンジは苦笑した。

「あの、一つだけ教えてくれない?」
リツコが口を開く。

「何でしょう?」
「この船はATフィールドで浮いていたわ、あれはどうやって発生させたのかしら?」

「企業秘密です」
シンジはそう言って微笑んだ。

「そう、やっぱりそうなのね」
リツコは目に見えて落胆した。

機械的にATフィールドを張っているなら、それが出来ると言う確信を得られる。
しかし、そうは言わないと言う事は、きっとこの中の誰かが張ったのだろうとリツコは思ったのだ。

「ご想像の通りですよ、きっと」
シンジはそう言って微笑むのだった。

シンジ達は、一同を移動用の大型ヘリに乗せ見送った。

これから冬月達は自分の保身のため色々と画策を行うだろう。
NERV本部が自爆した今となってはMAGIオリジナルももう無い。
各支部にあるMAGIコピーでリツコが色々と証拠を集めるのだろう。

シンジ達は、冬月達が有利になるよう国連に報告するための書類を作った。
レイの素体については触れないようにしたためリツコやマヤが人クローンを作成したと言う事により研究職に就けなくなるような事はないだろう。

冬月達と調整し、冬月達が報告する事と矛盾が無い様にした。

ある程度、国連で承認を得た後、シンジ達は京都に向かった。
暫く京都で暮らし、その間にアスカも馴染んで、残ってくれる事も期待していた。

社会の流れを観察しながら、碇シンジや綾波レイに危害が及ばない事を常に意識しながらシンジ、レイ、カヲルは京都で過ごした。
勿論、アスカも一緒である。
渚カヲルが一緒に居るため、シンジ達も余り心配する必要はなかった。

そして一年の歳月が過ぎ、碇シンジや綾波レイは、特に着目している組織は無いと結論付けた。

NERVは現状凍結。
未だ国連の査察団による調査が行われているが、本部が自爆して物理的証拠が全てなくなってしまった今、シンジ達の報告書と冬月達の矛盾点を探す作業のみとなっている。

戦自は国連の要請により、NERV占拠に力を貸しただけであり、実際NERV占拠を命令したのは国連と言う事になっている。
つまり、当時の人類補完委員会からの命令だったと言う事だ。

この事により国連自体も分が悪く、強行なNERV解体に踏み切れていない。
現状ではゼーレも裏社会に潜り、人類補完委員会は消滅してしまっていたのだ。

この一年、シンジ達が裏で暗躍し、ゼーレが表に出てこられないよう、色んな芽を潰し回っていたためでもあった。

「明日、ここを出ます」
「そうか、行ってしまうか」
シンジ達は碇老に挨拶をしていた。

「アスカ君はどうする?」
「アスカを連れて行く訳には行かないんです、申し訳ありませんがお願いできますか?」

「勿論、それは構わないが、アスカ君が怒るんじゃないか?」
「そうですね、多分、恨まれると思います」

「どうしても連れて行く訳には行かないのか?」
「彼女は記憶を持っているとはいえ、普通の人間なんです」

「そんな事には拘らんとは思うがな」
「僕達と居ると普通の暮らしは出来ません。彼女は普通の暮らしを望めます」

「彼女には話したのか?」
「ええ、一緒には行けないと言ってあります」

シンジは結局アスカには全てを話しては居なかった。
しかし、アスカは人間で自分達は殆ど使徒で有る事。
アスカは、普通の人間として生活出来るから自分達と一緒に居る必要は無い事。
自分達と一緒に居ると人間らしい生活とは離れてしまう事を話していた。

そんな遣り取りをアスカは物陰から聞いていた。

「ちゃんと皆には挨拶して行ってくれよ」
「はい」



翌日、シンジ達は、皆に別れの挨拶をしていた。
ここは京都近郊にある海岸である。

「それでは、行きます。皆さんもお元気で」
「あぁ、後の事は心配せんでいいぞ。任せておけ」
碇老は涙ぐみながらもシンジ達を送り出した。

「お元気で、本当にありがとうございました」
「・・・お元気で」
「2人の事は心配しないでおくれ」

碇シンジ、綾波レイ、渚カヲルの3人も見送ってくれた。

「アスカ・・・」
「何湿気た顔してんのよ!あんたなんかに心配されるなんてあたしもヤキが回ったもんね!」
アスカは、いつも通りの明るい笑顔で、いつも通りの高飛車な口調でそう言った。

シンジ達は、ガードの人達や見送りに来てくれている碇家のお手伝いや調理人、碇財閥のこの後を切り盛りしていく役員達にも挨拶を行った。

そして、手を振りながら艇に向かう3人。
見送る皆も手を振っている。

シンジ達は国連の特務機関と言う立場も既に放棄していた。
表向きはNERVと言う特務機関が無くなった今、自分達に特務権限を発令する組織は無いからと言う事だったが、実際はSCSと言う名前を碇家のガードに譲ったためだ。



「それじゃぁ僕達は戻ろうか」
「・・・そうね」
「名残惜しいけどねぇ」
シンジがそう言うと艇は海の奥深くへ沈んで行く。

海岸では船が見えなくなるまで皆、見送っていた。

「時空移転装置作動、目標ユグドラシル!」
「・・・了解」
「了解だよ」

そしてシンジ達の艇は、海の底深くで暗い穴に入って行った。



数時間の後、シンジ達の艇は眩いばかにの光りに包まれた場所に出現した。

周りに草花が生えており、その先には逆さまに生えたような樹。
艇から降りたシンジ達は、その樹の枯れている枝の一つを見て悲しそうな表情になる。

「やぁお帰り、今回はどうだった?」
声を掛けて来たのは銀の長髪に深緑の眼以外は普通の人間に見えた。

「サードインパクトは防げたと思います。ゲンドウはやはり妄想から抜けられませんでした」
シンジは樹を見つめたまま答えた。

「ほう、ゲンドウ以外は大丈夫だったと言う事かい?」
「いえ、勿論ゼーレも」

「まぁ彼らが元凶で有ることには代りはないから、そこを正すのは無理かもしれないね」 その男も樹を眺めている。

「でも君達のお陰で、あの枯れた枝の下に新たな芽が出てきているよ」
「しかし・・・」

「そうだね、枯れた枝は元には戻らない」
シンジの言葉を先取る様にその男は言葉を紡ぐ。

「僕達の行っている事は無駄何でしょうか?」
「そんな事はないさ、あの枯れていた枝の先は前は真っ暗だったからね」
そう言ってその銀髪の青年はシンジに向かって微笑む。

「で?ここは何処なわけ?」
「ア、アスカァ?!」
そこには京都で別れて来たはずのアスカが腰に手を当て立っていた。

「ふん!あたしを置いて行こうなんて100万年早いのよ!」
「いや、でも・・・どうするつもり?」
シンジは眼が点になっている。

カヲルは微笑んでいるし、レイはいつもの表情だ。

「もしかして2人とも知っていたの?」
そんな2人の様子にシンジが尋ねた。

「まぁ艇の中に生命反応が4つ合ったからねぇ」
「・・・この人が簡単に引き下がる訳ないわ」
シンジは知らなかったのは自分だけかと頭を抱え込んだ。

「彼女の場合、生命の実を持っていないので、逆行した時にその時間軸の同一人物と同化してしまったんだよ」
「へ?!」
なんでも無いことの様に言う長髪の青年にシンジはまたも惚けてしまった。

「あんた誰よ!」
「僕はユグドラシルの管理人、ガイと申します。はじめまして惣流=アスカ=ラングレーさん」
青年はそう自己紹介しアスカに向かって微笑んだ。

「ユグドラシルって、じゃぁここが世界の中心だと言うの?!」
「流石、聡明だね、その通りだよ。そしてあれがユグドラシルの樹だ」
そう言って銀髪の青年は逆さに生えている様な樹を指さした。

「あの枯れている枝って・・・」
「そう、あれが君達が経験したサードインパクトの起った時間軸だよ」
銀髪の青年は寂しげに伝える。

「じゃぁその下から生えている枝は?」
「シンジ君達が行って、サードインパクトを止めた時間軸だね」

「えっ?!じゃぁシンジ達って何回も遡ってるの?」
「遡ってるって言う言い方は適当じゃないんだ。その枝に干渉しているだけだよ」
シンジが寂しそうに答えた。

「そう、それが一緒に来られないって言う理由だったのね」
「うん、僕達は新しい芽が出たら干渉してサードインパクトは起こさせない様にするつもりだから」

「あんた達、大変な事やってたのね、で、あたしはその生命の実ってのがないから、そこに行くと同化しちゃうってのね」
「生命の実と言うよりアスカ君は身体を消失していたからね」

「生命の実があれば身体は消失しないから、あながち間違いでもないんだけどね」
「じゃぁ、今度、どこかに行く分には同化しないって事ね?」

「そうとも言い切れないんだ、アスカの魂自体が同じ時間軸に二つ存在する事になるから」
「どうなるってのよ?」

「多分、どちらかが排除されかねないかな」
「排除って・・・」

「今回は偶々、同化して存在していたけど、どうなるかは予想できないねぇ」

「そう・・・」
アスカは少し寂しそうに俯いた。

「アスカ君の考えている事は解るよ、ここで、暫く修行すれば、アスカ君もシンジ君達について行けるようになるけど、やるかい?」
「修行って何?」
アスカはその「修行」と言う言葉に嫌な物を感じ、訝しげにガイを見、尋ねた。

「そんなアスカ君が想像している様な物では無いよ」
そう言ってガイは微笑んでいた。

「ここに居て、世界の真理、宇宙の真理を知れば自ずから階梯を上がる事になるからね」
「階梯?」

「そう、階梯を上がる事により、生命体は進化する事ができる。それは物理的な進化ではなく精神的な進化だけれどもね」
「ふ〜〜ん、いいわ、それやるわ!始めて!」

「いや、そんな急ぐ事じゃないんだ、まずここでの生活に慣れないと」
「いいからさっさと始めなさいよ!」
そんなシンジとアスカを微笑ましく眺めている他のメンバー達。
レイだけが不満顔なのは、お約束である。



そしてシンジ、レイ、カヲルとユグドラシルの管理人でガイと名乗る青年とアスカは生活を始める事になった。

そこでは、「修行」とは名ばかりの穏やかな生活だった。

そこには昼/夜の感覚はなく、時間さえ流れているのか不明であった。
ガイ曰く、
「全ての時間に通じており、全ての時間と隔離されている」
と言う事だった。

それだったら、シンジ達の経験したサードインパクトを止める事も出来るんじゃないかと聞いたのだが、
「一度起った事は無かった事には出来ない、それは貴方の記憶に存在するでしょう?」
と逆に返されてしまった。

つまり、起った事を無い事にすると、違う枝になるだけと言う事だった。
ここに居て時間とは、距離と同じ様な意味しか無いらしい。
だから、遡る事も先へ進める事もできる。
しかし、起った事は無かった事には出来ない。

また魂の概念についても難しく、本来、魂は唯一なもので在るらしく、同じ魂は二つ存在しないらしい。
しかし、サードインパクトと言う現象は異常であり、その枝の先が消えてしまった。

本来、産まれるべき魂も産まれなくなり、その歪みとして、枝分かれが複数起きているらしい。

つまり、枝には終端があり、終端まで行って初めて分岐を行う。
これにより、同じ魂は二つ存在しない事になる。

時間の流れは直線では無いため、平行世界も存在すると言う事で、その点で見れば我々には、同時に同じ魂が存在していると思われるが、ここユグドラシル的には同時ではないらしい。

アスカはそれらの知識を別段、勉強するではなく、普段の生活の中で身に付けていった。

ここでの生活は規則正しく穏やかである。
眠くなると、眠り、眼が醒めると世界を感じる。

悠々自適の様でいて、気が付くと知識を深めている。
会話をしているようでしていない。

自分が宇宙、自分が世界の様な錯覚に捕らわれる。

「それは正しいのですよ、貴方の中に宇宙があり、世界があります。そして貴方も世界の一部です」
自分が自分で無くなるような感覚。
そこに世界が有り宇宙が在る。
そして、そこに自分が居る。

森羅万象について身をもって知る事になった。



「そろそろ宜しいんじゃないでしょうか?」
ガイがある時、そう切り出した。

「・・・そうね」
「いいと思うよ」
レイとカヲルはすぐ賛同したが、シンジは首を傾げている。

「おや?何か問題でも?」
「あんた!なんかあたしに不満があるってわけ?!」
相変わらずアスカの物言いは高飛車である。

「不満って言うか、見た目変ってないなぁって思って・・・」

そう、シンジの感覚では、銀髪に色の薄い眼がトレードマークだったのだ。
しかし、アスカの髪の色と眼の色は元のままだった。

「それはですね、意識の問題なんですよ」
「あぁそう言う事ですか」
シンジは納得した。

つまり、シンジの頭の中では、使徒のイメージが強く、そしてその代表がレイでありカヲルであったため、自分もその様な力を手に入れたらそう言う容姿になると思い込んでいたのだ。
しかし、アスカは先に知識を得ていたため、自分を見失う事がなかったので、容姿も変らずに居たのだった。

「要は、あんたの精神力とあたしの精神力の違いよ!」
アスカはふん!と鼻息も荒く言い放った。

「ところで、解らない事があるんだけど?」
「何?」
アスカが済まなさそうに聞いて来た。

「あんた達って、結局、単体の完成されたヒトなんでしょ?」
「完成されたかどうかは解らないけどね」
アスカはその先を続けようか迷っている風だった。

「あんた達ってなんで3人一緒なの?」
「・・・私は碇君と2人で構わないわ」
レイは即答だった。

「僕もシンジ君と2人で構わないねぇ」
レイとカヲルが火花を散らす。

「僕は、皆、一緒が良いんだけど・・・」
シンジは済まなさそうに言った。

「・・・構わないわ」
そう言いながらシンジの腕に掴まるレイ。

「僕も異論はないねぇ」
と言いつつも幾分不満そうなカヲル。

「いや、だからあんた達はなんでシンジが必要なのよ」
「・・・希望なのよ」
「好きと言う言葉と共に解り合えると言うね」
アスカの質問にすかさず答えるレイとカヲルだった。

「やっぱりよく解らないわ」
アスカは両手を挙げて、降参のポーズを取る。

「本来、単体の完成されたヒトである使徒に対して、他人に興味を抱かせたシンジ君と言うのは凄いと言う事だよ」
ガイが説明する。

「こいつがねぇ・・・」
アスカは相変わらずシンジを馬鹿にした態度で接している。

「アスカ君だって彼に認めて貰いたかったのじゃなかったのかい?」
「そ、それは、こいつが自分がどれだけ色んな物を持ってるか気付かないで、求めるだけだったからよ!」

「・・・碇君に求められる事、それはとてもとても嬉しい事」
レイが何やら頬を紅くしている。

「その求めるじゃないっつぅの!」
アスカがレイの頭を叩いた。

「・・・痛い」
レイは涙目になっている。

「じゃぁ逆にアスカ君は何故シンジ君を見下した態度を取り続けているんだい?」
カヲルが突っ込んだ。

「そ、それはこいつがバカシンジだからよ!」

「・・・そんな態度だと碇君に嫌われるわ」
レイがニヤリと笑いシンジの腕を強く抱き締める。

「僕もシンジ君を馬鹿にする人と一緒には居られないねぇ」
カヲルはアスカがシンジをバカシンジと呼んで居た頃の付き合いを知らないので露骨に嫌悪を現わす。

それにはアスカもヤバイと少し冷や汗を流した。

「・・・アスカが来るとカヲルが怒るのね、カヲルが怒ると艇が安定しなくなるわ」
レイが追い打ちを掛ける様に困ったわねぇと言う顔をする。

「解りました、もうシンジを馬鹿にしません。連れて行って下さい」
アスカが折れた。

これにはシンジとレイは目を丸くした。
そして、この時点でアスカは「カヲルを怒らしては、いけない」と言う力関係が出来上がるのだった。

「話は終りましたか?」
笑いながらガイが話に入って来た。

「それで、新しい芽が出たようなんですが、行かれますか?」
「行く行く行く〜!」
アスカは即答だった。

「今回は、何が変っているんでしょうか?」
「どうやらシンジ君が女性のようです」
「へ?」
「それって、前にあんたが女装した影響じゃないの?」
アスカがジト目でシンジを見た。

「あっそれにアスカさん、男性ですね」
「「へ?」」
シンジとアスカが驚く。

「これは少し作戦を考えないと行けないね」
「そ、そうね」
シンジとアスカが何やら焦っていた。

「・・・女性の碇君、きっと綺麗」
「女性のシンジ君、無条件に好意に値するね」
レイとカヲルは別な想像をしているようだ。



「それでは、いってらっしゃい」
ユグドラシルの管理人、ガイは4人に手を振り送り出した。

「行ってきます」
「・・・行ってくるわ」
「行ってくるよ」
「行ってくるわね」
4人が艇に乗り込む。


暫くすると浮かび上がる巨大な船。

それを慈しむように見つめる銀髪に深緑の瞳。

「シンジ君、皆を頼みますますよ」

そう呟くと、巨大な船は黒い穴に消えて行った。

「彼らが来てから、ここユグドラシルにも愛が芽生えてきたようです。彼らの存在自体が愛と言う事なのでしょうか」
誰に言うでもなく、ガイは呟き、黒い穴が無くなるのを見ていた。



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後書き

ここまで読んで頂きありがとうございました。
どうも尻すぼみになったようです。

言訳はしませんが、風邪のせいです。(キッパリ)
書き直す可能性、大です。

風邪のせいか電波が頭に入ってきてまともな思考ができません。
いや、いつもだと言う突っ込みは無しで(^_^;)
途中、感想を送付して下さった方々、本当にありがとうございました。
この場を借りてお礼を申し上げます。
勿論、スパシン、逆行のみに対して感想をくれた方々も同様で御座います。

なんとか完結しました。やっぱり第二特務機関は無謀だった。orz



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新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。
拙著は当該作品を元に作成した代物です。